これは私個人の経験からの印象ですが、女性だけでなく男性が高齢の場合、子どもができにくいようです。逆に女性が高齢でも、男性のほうが若いカップルであれば妊娠が成立するケースもあります。知り合いの先生のクリニックで最近、体外受精で妊娠が成立した女性の最高年齢は47歳だったのですが、相手の男性は一回り以上年下でした。

なぜ不妊は増えたのか?

 子どもを産むというのは、人としてごく自然なことです。にもかかわらず、カップルのうち「7組に1組」が不妊に悩んでいるという現実に、驚かれる方も多いと思います。

 なぜ不妊はここまで増えたのでしょうか。
 直接的には、妊娠・出産をしようとする女性の高齢化です。生理が変わってくる前の36歳~37歳前後までが、女性が自然妊娠しやすい時期です。大事なことなので、この連載でもまた後ほど説明したいと思いますが、一般的には、年をとるほど卵子も高齢化し、妊娠しにくくなります。

 さらに突き詰めると、現代社会では、社会的な要因で不妊が増えていると言えます。
 女性の社会進出にともない、キャリアを充実させたい時期である20代後半から30代前半は、妊娠しやすい年齢とまったく重なっています。そろそろ子どもをつくろうかという30代後半から40歳くらいになると妊娠率が低下していく年齢を迎えます。

 また最近では、子どもを育てるにはお金が必要というイメージがあるので、経済的に落ち着いてから子どもを産もうと考える人が多く、そうしているうちに30代後半になってしまいます。そこからタイミングをはかるとさらに時間がかかり、「時すでに遅し」ということもしばしばあります。

 リスクの多い高齢出産を避ける35歳までに妊娠を考えるとすると、女性が働き始めてから、その期間は10年ほどしかありません。もっと働きたいと思えば妊娠しにくくなるというわけです。そのため女性は、常に年齢を意識しながら、仕事か出産かという決断を迫られているのです。