ひんやりおいしい「京スイーツ」3選
京都には全国有数の茶どころ宇治がありますので、京スイーツの金字塔といえば、やはり抹茶系でしょう。ほのかな苦みにより後味がすっきりと感じられ、ビタミンCを含むため、日焼け予防や日焼け後のケア、免疫を高めたい今の季節に最適です。
第15回「御手洗祭」でもご紹介した下鴨神社(左京区)の境内には、冬に積もった雪を夏まで保存しておく「氷室」がありました。糺(ただす)の森の中にたたずむ茶店「さるや」では、この氷室にちなみ、淡雪のような口どけのかき氷「鴨の氷室の氷」が味わえます。「黒蜜白玉」や「いちご」も美味なのですが、あずきを炊く名店なので、大粒の丹波大納言小豆の粒あんをたっぷりのせた「抹茶小豆」が推しです。
和菓子、文具、工芸品ほか各種老舗、骨董(こっとう)店、ギャラリーが連なる寺町通。ここにある「二條若狭屋寺町店」は、代表銘菓「家喜芋(やきいも)」や小箱入りの葛湯「不老泉」で名高い和菓子店ですが、近年は京都のかき氷界をリードする存在になったように思います。宇治金時、ほうじ茶など通年で味わえる定番氷のほか、今の季節なら、赤しそ、バジル、トマトといった旬素材を使う期間限定かき氷もお目見えします。氷には、京都三名水と謳(うた)われる染井の井と同じ水脈からくみ上げた軟水を使用。氷室の天然氷のような氷にするため、4〜7日かけてじっくりと時間をかけて凍らせるそうです。
かき氷が続きましたが、ひんやりおいしい「京スイーツ」の手土産として、あんを生麩(なまふ)でくるみ笹の葉で包んだ「麸まんじゅう」はいかがでしょう。甘いものは普段食べないけど、麸まんじゅうなら好きという辛党さんも少なくありません。
お麸は低カロリーでタンパク質が豊富であることから、京都のお寺では湯葉や豆腐とともに精進料理の食材として重宝されてきた、なじみ深い食材。小麦粉に水を加えて練り上げることでできるグルテンを、餅粉と合わせて蒸したものが生麩です。田楽、煮物、鍋物に合いますし、桜、青もみじ、紅葉のような季節の草花がモチーフの生麩をお吸い物に一つ添えるだけで、器の中がパッと華やぐ、京料理の名脇役でもあります。
江戸時代初期創業のお麸&ゆばの専門店「半兵衛麸」(東山区)の麸まんじゅうは、こしあんと抹茶あんの2種。「京の台所」こと錦市場(中京区)にある「麸嘉 錦店」では、青のりを練り込んだ生麩で丹波大納言のこしあんを包んだものが定番で、国産レモンの果汁と果皮を生地とあんに練り込んだ「レモン麸まんじゅう」もあります。つるんとした口あたりとふにゅっとやわらかな独特の食感、なめらかなこしあんが魅力の麸まんじゅう。ぜひ、召し上がってみてください。