【1分読み切り】なんとなく不満をためがちな人は、こんなふうに考えてみると、一瞬で「多幸感」を得られるようになります。
誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

【精神科医が教える】いつでも幸せを感じられる人、不満をためてばかりの人「その決定的な差」とは?Photo: Adobe Stock

満たされると幸せは感じない

今日は「満たされると幸せは感じない」というテーマについてお話ししたいと思います。

よく、満たされないから幸せじゃないとか、満たされたら幸せになれるように思われがちですが、実は逆なんです。

なぜかというと、物事が満たされてしまうと、その満たされたラインがゼロベースになってしまうからです。つまり、何かが足りないときにこそ、その足りなさが埋められた状態を望み、それが叶うときに幸せを感じられるわけです。

人は「変化値」に幸せを感じる?

たとえば、誰かに会いたいと思い、その人と会えると、その瞬間が幸せだと感じます。しかし、その人に会いたいという「穴」が埋められてしまうと、そこはもう平らになり、当たり前の感覚になってしまうのです。

ちょっと難しい言い方をすると、人は「変化値」に対して幸福感を抱くものなのです。プラスの変化が起きたときに幸せを感じ、それが手に入った瞬間がいちばん幸せだと感じます。

ところが、いったん手に入ってしまうと、その状態が当たり前になり、そこに幸せを感じにくくなってしまうのです。

毎日が幸せにあふれている

いまはあまり幸せじゃないと思っている人がいるかもしれません。それでも、日常がちゃんと送れているのなら、それだけで十分幸せなのです。

住む家があって、ちゃんと寝られて、朝起きて、ご飯を食べられる。これらは、実はとても幸せなこと。仮に山へ出かけて遭難し、安眠できる場所も、食べものもないとなったら、どれほど家が恋しくなるでしょうか。

満たされていないからこそ、恋しいと思うのです。そして、無事に家に帰ることができたら、その瞬間はめちゃくちゃ幸せに感じることでしょう。ところが、また毎日普通に暮らしはじめると、その幸せが当たり前になってしまうのが人間の性なのです。

目の前の幸せを数えてみよう

では、どうすればいいのかというと、「想像力」を持つことです。自分が当たり前のように得られている幸せを、ちゃんと数えてみることが大切です。

毎日の家事はたいへんで面倒くさいものかもしれませんが、考え方によっては、家事ができるということは幸せだともいえます。家があるから家事ができるわけですから。

また、つかず離れずの家族がいて、「ただいま」「おかえりなさい」と言い合えることさえも、ちょっと面倒くさいと感じるかもしれません。しかし、同じ人が帰ってきてくれる、そばに人がいてくれるというのは、幸せなことなのです。

失ってから気づく前に……

このように、自分の目の前にある幸せを見つけ出して数えてあげないと、幸せは感じられなくなってしまいます。すでに満たされた状態だと、なにも感じられなくなってしまいがちなのです。

だからこそ、自分でちゃんと埋められたものを掘り起こして、「これがあるから自分は幸せなんだ」と認識することが大切です。

失ってはじめて気づくというのも本質ですが、失ったときに気づいても、もうとり返しがつかず、後悔するだけ。だからこそ、失う前から気づいておいてほしいのです。

当たり前の幸せをカウントしてみよう

「これがあるから自分は幸せなんだな」「これもしなかったら大変だよね」というふうに、幸せをカウントすることを習慣にしてみるのはいかがでしょうか。

それが日々を感謝することにもつながり、幸せを掘り起こすことにもなると思います。