『絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方』の発売とともに2026年卒の就職活動が本格化している。本書の発売を記念して、人気企業で採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏に就活の心得を聞いた。本記事では、就活のカギとなる「学生時代に一番力をいれたこと」について解説する。(取材・文 奥田由意、構成 ダイヤモンド社書籍編集局)

最短内定する学生だけが知っている、「学生時代に一番力をいれたこと」で絶対に伝えるべきポイント「学生時代にしたすごい経験」を求められているわけではない(Photo: Adobe Stock)

就活最初のカベ、「ガクチカ」

 唐突ですが、エントリーシートや面接で「学生時代に一番力をいれたこと」という質問項目があるのはなぜなのか考えたことがあるでしょうか。

 これは採用担当者の気持ちになって考えればすぐわかります。

 たとえば、一次面接の担当者は、面接した学生のなかから二次面接に「上げる」学生を決めなければなりません。同時に、その学生の何が決め手なのかを、二次面接の担当者や人事部にわかりやすく手短かに「書面」にして残す必要があります。「なんとなく魅力的だったから」では話になりません。

 そんなとき、一次面接の担当者が、「Aさんは飲食店のアルバイトで●●という工夫をして、アルバイトスタッフの離職率を下げることに成功した」と報告できたら、二次面接担当者も「その人はいいね」とすぐにわかってくれます。

 一番がんばったこと、一番印象に残ったこと、一番大きなチャレンジ、などについて質問しておけば、次の面接官に報告しやすいエピソードを学生から引き出せます。このため、エントリーシートの質問にもそのような項目が並んでいるのです。

 だから、学生が面接で伝えなければならないのは、エピソードをたくさんPRすることではなく、一次面接担当者が二次面接担当者に報告しやすい、「簡潔に自分のよさがまとまったエピソード」なのです。

 このため、目の前の面接官と一緒に「書類」を埋めるつもりで話すのがおすすめです。自己PRで何を言っていいかわからないという人は、この視点を持てれば、迷いが少なくなると思います。

印象に残りやすい話し方を

 さらに面接での話し方も変わってくると思います。

 絶対に二次面接担当者に報告してほしいような大事なことや重要なエピソードは少しテンポを落としてゆっくりしゃべる、あるいは、冒頭に一番インパクトのあるフレーズを置く、といったことが有効です。

 これは何も小手先のテクニックではありません。一次面接者の「報告の負担」を軽くして、手間を省いてあげることだと考えれば、きわめて合理的ですし、納得しやすいと思います。

 このように、就活生が最初に悩む「ガクチカ」も、面接官の立場で考えることでおのずと攻略法が見えてくるのではないでしょうか。

福重敦士(ふくしげ・あつし)
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースHD営業局長
43年続く「ダイヤモンド就職人気企業ランキング調査」で毎年上位にランクインする超大手・人気企業の採用コンサルティングを手掛ける。メーカー、商社、金融、インフラ、マスコミ、コンサル等、採用マーケットを知り尽くしたカリスマ営業パーソン。同社のLIVEセミナーの講演も主宰する。