仮説が間違っていたら大当たり!

 検証可能な仮説にする絞り込み方の一例を挙げよう。

テーマ大 「織田信長について調べる」
→広すぎて何から調べたらよいのかわからない

テーマ中 「織田信長の食事について調べる」
→論文や書籍の内容をまとめただけになりそうで独自性に欠ける

テーマ小 「『織田信長は納豆を食べたことがあるはずだ』という仮説の成否を調べる」
→調査対象に集中して探究できる。独自性もある

 仮説にたどり着けば、その後の活動は「仮説の証明」という一点に向かっていくので、探究活動がブレにくくなる。

「テーマ大からどんどんズームインしていき、それをズームアップして細かいところを隅々までじっと見て、探究の手段も含めて仮説を立てたら、どう考えてもこうならざるを得ないというレベルまで煮詰めておきましょう。絶対にこうなるはずだという思い込みを持てること。それがなければ、自律的な探究ではなく単に調べただけの活動になってしまいます」

 こうしてテーマが決まったら、探究ノートを携え、仮説に基づいて探究を進めていこう。

 そして、成功に絶対の自信を持って仮説を立てたが、仮説は間違っていたという結果になったとしても、「失敗ではなく大当たり!」(中田氏)だ。

「検証まで終えて自己完結していれば、立派な探究です。計画通りに進まないのが探究であり、仮説が外れるところに発見の妙味があります。仮説を持つ。それを自分で確かめてみる。新しい世界を知る。この三段跳びこそが、探究の確信です」

 社会人になると調べ物や改善策を考えるといった探究的な課題を課されることも当たり前のようにある。探究学習はその実習の一つ。好きなテーマを選んでもよいし、失敗しても構わない。学校の授業で探究のコツをつかみ、将来のために、自分で考えて調べる力を身につけておこう。