変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

【結果を出すリーダーがやっている】「チームの関係」があっという間に改善するたった1つの方法Photo: Adobe Stock

チームの関係性に潜む問題

 皆さんのチームでは、メンバー同士の関係は良好でしょうか? 会議の場で、誰もが意見を自由に発言できる環境が整っているでしょうか?

 多くの場合、メンバー同士の関係性に問題を抱えるチームでは、互いの考えや意見を理解し合えていない状況が見受けられます。このようなチームでは、会議が遠慮や空気の読み合いで進行し、表面的には協力し合っているように見えても、実際にはお互いが歩み寄る姿勢にはなく、本質的な話し合いには至りません。

 特に、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まる現代のチームにおいては、それぞれの考え方やアプローチが異なるため、互いを理解するのは容易ではありません。その結果、コミュニケーションが不足し、問題が山積みになりがちです。このような関係性の悪化は、チームのパフォーマンスに深刻な影響を及ぼします。

問題の根本原因を探る

 たとえば皆さんは、隣のメンバーがどのような仕事をしているのか、今何に困っているのか、即座に答えられますか?

 メンバーがお互いの背景や現在の状況を十分に理解していないと、チームの関係性が深まることはありません。また、個々のメンバーが直面している問題が共有されないまま放置されると、それがボトルネックとなり、結果的にプロジェクトの進行が遅れる原因にもなりかねません。そうした状況では信頼関係を築くことも難しく、結果としてチーム全体の協力体制が弱まるという悪循環に陥ります。

 つまり、メンバー同士の関係性が改善されない限り、チームのパフォーマンスを最大化することは難しいのです。

朝礼での情報共有がカギ

 では、何をすればチームの関係性は改善するのでしょうか。その答えはシンプルです。毎朝の朝礼で、メンバーがお互いに情報を共有する機会を設けることです。

 この朝礼は、単なる仕事の進捗報告の場にとどまらず、個々のメンバーの人間性や現在抱えている問題を共有する場とします。たとえば、好きな本や料理、行きたい場所など、いわゆるアイスブレイクとなる話題から始めると、よりリラックスした雰囲気が生まれると同時にメンバー同士の理解が深まります。

 その後、現在取り組んでいる仕事や直面している課題について話し合う時間を設けましょう。このようにして、リアルタイムでお互いの状況を把握し、サポートし合うことができる環境を作ることが重要です。これにより、月に一度の決起集会だけでは得られない、持続的なチームの連携力を高めることが可能になります。

『アジャイル仕事術』では、このような日常的な情報共有によってチーム全体のパフォーマンスを向上させ、問題解決のスピードを格段に速める手法を紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。