プレート理論は定説ではなくなりつつある?
疑問を投げかける専門家の気になる主張
特に、地震予知連絡会や気象庁、政府が地震が起きる度に説明の中心としているプレート理論そのものが、世界的に見て定説とまでは言い切れるものではなくなっているということを主張する学者は少なからずいるのが実情です。そのことを、日本のメディアは吟味してから報道すべきです。
これについて、詳しく述べましょう。もともとプレート理論は仮説として有力視され、1969年に開催された米国のランドマークペンローズ会議で発表されました。出席した日本人科学者は、初めてこの理論を知り、その理論を信じ、いつしか「仮説」から「真理」のように解釈してしまいました。そして地震予知連絡会が作られ、莫大な予算が投じられて、新しい視点や理論が出てきても、なかなか受け容れられない仕組みになってしまっていると言われます。
科学は常に進歩します。DNA解析で日本人のルーツに関する研究が大きく変わったように、地球の内部に関する調査も50年前から進歩しました。私に新しい調査結果を教えてくれたのは、埼玉大学名誉教授(地質学)の角田史雄氏と元内閣情報調査室参事官の藤和彦氏による『徹底図解 メガ地震がやってくる!』(ビジネス社)という書籍でした。この書籍の内容を参照しながら、論を進めましょう(引用は「要約」になるので、詳しくは本書をお読みください)。
本書によると、かつては地球の内部を調べる方法がなく、推測によって、地下100kmまでの範囲内に硬い岩盤(プレート)があるという理論が主流でした(400キロという説もあります)。しかしこの10年ほどで新しい研究が進みました。米国地質研究所は、人間に使うMRIを巨大にしたような装置を使ってさらに地下深くの状況を解明することに成功し、660kmまでのデータを公開しました。同時に世界火山学会(スミソニアン博物館)も、火山爆発とマントルのたまり具合を詳細にデータで発表しています。
この調査でわかったことは、プレートに関する従来の説を覆すものでした。プレート説の根幹は、地中深くにあるマントル(地球内部の地殻と核との間の層。溶けると溶岩流のような状態になる)の対流によって隆起した山脈(海嶺)から生まれたプレートが十数枚あり、それがぶつかるか、片方の下部に沈むと地震や火山噴火を誘発するというものです。
しかし、このMRI(正式名はMT=マントルトモグラフィー)の調査では、太平洋の底には地下1000キロまで温かいマントルが流れているものの、巨大プレートを形成するための強い関連性はないこと、またプレートは地下すべてを覆っているものではなく、厚さもなくて、巨大地震のエネルギーを生み出せるほどのパワーはないことが指摘されました。そしてプレートは常に一定方向に遠距離移動しており、実際には時計回りに回転していて、いずれ衝突し地震が起こるという「沈み込み理論」は適合しないということです。