「えこひいきするダメ管理職に読ませたい」
そんな感想が届いているのは、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法の「識学」をもとに、部下の育成や日々の管理業務などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のビジネススキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「えこひいき」している?
あなたの上司は、メンバーを平等に見ていますか?
もしかすると、一部のお気に入りを「えこひいき」していないでしょうか。
組織の中では、「いい緊張感」が生まれることが大事です。
適切な「競争状態をつくる」ことです。
人の成長を考えたとき、組織としていちばんよいのは、「社内で健全な競争が起こっている」という状態です。
理想的な組織では、健全な競争が起こっています。
もし、競争という言葉がイヤであれば、「切磋琢磨」と言い替えてもいいでしょう。
どんな業界にいても、資本主義の下、競合他社と争うことは、もちろん避けられません。
しかし、本当に強い会社では、その会社内で競争が起こっていることがほとんどです。
たとえば、メーカーであれば、社内に一番の主力商品があるはずです。
その主力商品の売上を追い抜こうと、他の部署が切磋琢磨しているのか。
それとも、主力商品が売上をあげているから会社は安泰だと思い、他の部署はのんびり仕事しているのか。
この2つでは、近い将来、ものすごい差が生まれるのです。
だからこそ、管理職やマネジャーは、健全な競争が生まれるようにしていかなければいけません。
もちろん、社長の考えもあるでしょうが、部下たちを数人まとめているのであれば、そこでの競争が生まれることが望ましいです。
「平等に見る」ということ
ここでは、50メートル走を例にしましょう。
たとえば、全員が同じスタート地点に立ち、50メートル先をゴールとします。
そこで、「位置について、よーいドン!」と言えば、競争が始まります。
部下たちが不平等感なく、フェアな状態にあること。それが大事です。
また、50メートル走にも「ルール」は必要です。
「自転車や車を使わず、自分の足で走ること」
「最後のテープは胸で切ること」
など、全員が守るべきルールが存在します。
考えてみれば、すべてのスポーツには「ルール」があり、「フェア」な立場でプレーしています。
なのに、会社においてはそれが明確になっておらず、リーダーである監督はアンフェアな判断をしていることが往々にしてあります。
それを正していくのがリーダーの役割です。
仕事を限りなく「スポーツ」に近づけていくのが、目指すべきリーダーの役割です。
自分の可愛がっている選手だけに、5メートル短い位置からスタートさせたり、とっておきのスパイクをプレゼントしたりすることが、果たして許されるでしょうか。
そんな非常識なマネジメントが、会社組織ではおこなわれてしまっているのです。
管理職は、絶対に「えこひいき」をしないようにしましょう。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年8月現在、約4400社の導入実績がある。主な著書にシリーズ累計140万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。