コスパやタイパにとらわれた
「すぐに変わりたい」妄想の果て

 その1歩めに大きなリスクがある場合は、エビデンスが重要になります。1歩めを容易に踏み出せるなら、エビデンスを探すよりもさっさと行動したほうが、結果や情報が入りやすいものです。

 正しくありたいというテーマにはいろいろなものが含まれますが、現代人がとてもとらわれていることがコスパ、タイパに代表される「最短の努力で最高の目的を達成しなければならない(それが正しい)」という信念です。

 それが達成できる人が有能であると思われているフシがあります。また、どこかにそれを達成できる方法がある。それを見つけなければ、学ばなければ……とも思っています。現代社会にはびこる効率主義の呪縛です。

 仕事ならそういう側面もあるかもしれませんが、それを余暇とか自分自身の成長などにも持ち込んでしまうと、デメリットのほうが大きくなるのではないでしょうか。

「不安がりの体質をすぐに変えなければならない」という思い込みにとらわれていると、これは過剰な期待値になってしまい成長にとってマイナスに働きがちです。効率に縛られている自分に気づきましょう。

 ただ、本当にこの「すぐ変わるべき」妄想にとらわれている人は多いのです。

 この妄想を助長しているのが、さまざまな自己啓発系の情報です。たとえば認知療法系の本を読むと、思考などを変えればすぐに不安がりやから抜け出せるように思ってしまいます。たしかに、不安の第1段階でその練習をすればかなりの効果が出ることも事実です。だから、嘘ではない。ネットや本などでもそのような成功例が紹介されています。

 そこで「不安がりやはすぐ改善できるのが当然(できなければダメ)」と感じてしまうのです。これが高すぎる期待値になってしまいます。