かつて不動産投資はGDPの3割に達したが…
下落が続く中国の不動産市場

 8月15日、中国の国家統計局は不動産関連の経済指標を発表した。主要70都市の新築住宅価格は、単純平均で前月比0.6%、中古住宅価格は前月比0.8%下落した。不動産価格は下落傾向を脱していない。

 23年1月にゼロコロナ政策が終了した後、一時的に、不動産市況も幾分か上向くかに思われた。しかし、政府の融資規制でエバーグランデや碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)などの大手デベロッパーの業績は悪化。それに伴い、未完成のまま放置されるマンションは増えた。23年6月から新築住宅価格は下落傾向で、7月は主要70都市のうち66都市で前月から下落した。

 地方だけでなく、北京、上海、広州、深センなどの都市部でも住宅市場は悪化傾向にあるようだ。都市の規模が小さいほど、価格下落率は高い。中国の不動産市場では価格下落に対する恐怖感が高まり、不動産購入に消極的なスタンスが続いている。

 1~7月の累計で、不動産開発投資は前年同期比10.2%減少した。同じ期間、新築不動産の販売面積は同18.6%減少し、新規着工は前年比23.2%減だった(販売、着工とも床面積ベース)。デベロッパーは債務の返済や住宅の完成に向けて資金調達を急がなければならないが、資金調達額は21.3%減少している。状況はかなり厳しい。

 過去のピーク時、中国の不動産投資はGDPの約29%に達したとの試算もあった。マンションなどへの不動産投資が増加したことで鉄鋼やセメント、建設機械や家電、自動車などの需要は増え、インフラ関連の投資を増やすこともできた。それに伴い、小売りや飲食、宿泊、交通などのサービス業も成長し、雇用・所得機会が向上した。地方政府はデベロッパーに土地の利用権を譲渡して歳入を確保し、産業補助金なども確保することが可能になった。まさに、不動産投資を中心に経済が好循環していた。