楽天グループが金融事業の再編を断念し、楽天カードにみずほフィナンシャルグループ(FG)の出資を受け入れる協議を開始した。楽天銀行、楽天証券の保有株の一部売却に続いて、金融事業の「切り売り」を再開させたことになる。特集『楽天 延命』の#6では、楽天の金融事業の再編計画が断念に追い込まれた真相に迫るとともに、みずほFGのしたたかな狙いを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令ニ)
楽天銀行、楽天証券に続き、楽天カードも
金融事業の「切り売り」を再開した裏事情とは
楽天グループは9月30日、楽天カードにみずほフィナンシャルグループ(FG)の出資を受け入れる協議を開始したと発表した。年内12月末までの合意を目指し、出資比率や金額などの条件を詰める予定だ。
これにより楽天は、楽天銀行、楽天証券に続いて、「楽天経済圏」の中核を担う楽天カードも“切り売り”に踏み込むことになる。
楽天は、2~4月に米ドル建て社債とユーロ円債で総額6190億円の資金調達を実施して当面の資金繰りを乗り切った。それでも6月末の連結有利子負債は2兆0520億円(金融事業を除く)と過去最高水準にあるほか、携帯電話事業の設備投資も引き続き必要で、依然として資金繰りは予断を許さない。
もともと楽天の計画には、楽天銀行、楽天証券、楽天カード、楽天損害保険、楽天生命保険など傘下の金融事業を一つのグループに集約して金融事業全体の企業価値を高めることで、「新たな資金源」にするという狙いがあった。
だが、その計画は、そもそも“無理筋”だったと言っていい。
次ページでは、楽天の金融事業の再編計画が断念に追い込まれた真相を明らかにする。同時に、念願の楽天カード出資への足掛かりを手に入れたみずほFGのしたたかな狙いに迫る。