では、自社のことばかり考えた内向きな組織に「No(ノー)」の意思表示をするため、個人としてどんな働きかけをしたらよいのだろう。
 3つの方法を紹介したい。

社外の情報を社内に共有する

 業界のニュース、技術情報、組織運営に関するトレンド情報など、仕事に直接関係するところからでかまわない。インターネットのニュース記事や新聞記事、書籍などを職場で紹介してみよう。

 部や課にメールやチャットでニュース記事を共有するくらいであれば受け入れられやすい。やがて外に対して目が向く人、外の情報を活用して仕事の成果を出す人、外から得た情報を根拠に行動を改める人が出てくる。
 学習する体質の醸成も後押しされていくだろう。

社会の声を共有する

 顧客やお取引先の声、世間の反応などを社内に伝えるのもよい。
 自分たちが外からどう見られているかを知ることができる。

 あなたが広報担当者なら、社内報に顧客やお取引先のメッセージを掲載するのもよいだろう。社外の専門家のインタビュー記事や対談記事も、役員や社員に読まれる傾向にある。

 顧客や株主・投資家などからの目先主義の無茶な要求が、会社をおかしくしてしまうこともある。これら社外ステークホルダーとの対話も重要なコミュニケーションである。

外の人を体制に組み込む

 新たなミッションに取り組むとき、あるいは新たなチームを発足するときなど、最初から外の人を加えた越境体制にしよう。

 たとえばマーケティングの業務なら、顧客にも参加してもらい、忌憚のない意見を述べてもらうようにしている会社もある。

 その際、決して相手を下請け扱いしてはならないが、媚びへつらう必要もない。相手をリスペクトし、フラットな関係を構築しよう。主従関係では組織は健全にアップデートされない。

一歩踏みだす!

 ・外部情報のシャワーを浴びせる
 ・外の人を体制に組み込む

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。