初めて庵を結んだ地「金戒光明寺」

「金戒光明寺」(左京区)。写真は山門手前にある黒門(高麗門)「金戒光明寺」(左京区)。写真は山門手前にある黒門(高麗門)

 総本山の知恩院の後は、全国に七つある大本山のうち、京都の3カ寺を訪れましょう。北に向けてすべて歩いても5kmほど。門前の神宮通などを走る市バスを利用すれば、時短も可能です。

 平安神宮のある岡崎を越えた北東側にある金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)は、法然上人二十五霊場第24番札所。比叡山を下りた法然上人が初めて草庵を結んだ地です。1175(承安5)年、真如堂を参拝した帰り道、法然上人が石に腰掛けて念仏をとなえたところ、たちまち紫色の雲が湧き上がって光明が差したことから、草庵を結ぶ場所をこの地に定めたと伝わります。御影堂には、75歳の法然上人を表した坐像「鏡の御影」が祭られています。
 
 御影堂のそばに立つ枝ぶりのよいクロマツは、現在3代目。源平の争乱の折、若武者(平清盛の甥の敦盛)の命を奪ってしまい、世の無常を感じた熊谷直実が、法然上人のもとを訪れて説法を聞き、身に着けていた鎧(よろい)を松にかけて出家を決意したという話が語り継がれています。

 境内東側に広がる墓地の石段を上がり、三重塔の手前を左へ進んだ先に、西雲院(左京区)という小さなお寺があります。境内の祠(ほこら)にうやうやしく祭られているのは「紫雲石」。先述の法然上人の話を今に伝える霊石です。ぜひ、足を延ばしてみてください。