圧巻の大念珠「百萬遍知恩寺」

「百萬遍知恩寺」(左京区)。午後からは大殿で大念珠繰りが行われる「百萬遍知恩寺」(左京区)。「百万遍さんの手づくり市」が開かれる毎月15日の午後からは大殿で大念珠繰りが行われる

 金戒光明寺から吉田山を越えて北西へ2kmほど。京都大学吉田キャンパスの向かいに百萬遍知恩寺(ひゃくまんべんちおんじ)がたたずみます。こちらは法然上人二十五霊場第22番札所。比叡山を下りた法然上人が、人々に専修念仏の教えを説く日々を過ごしたという賀茂社の神宮寺「功徳院」にルーツをもちます。源智が法然上人亡き後、寺の名を「(法然上人の)恩を知る寺」と改めました。
  
 寺名に添えられた「百萬遍」には、こんな話が。鎌倉時代末期、大地震から広まった疫病を封じるため、知恩寺第8世が空海筆の利剣名号軸を掲げ、七日七夜かけて百万回の念仏をとなえました。その結果、見事パンデミックが収束し、後醍醐天皇から「百萬遍」の号をたまわったというものです。
 
 1080顆(か)もの大念珠が御影堂内をぐるりと囲むように連なるさまが圧巻です。お参りの際は、ぜひ堂内に上がって手を合わせましょう。また、雑貨やスイーツなど手づくりの品を扱う店が境内に並ぶ、毎月15日の「百万遍さんの手づくり市」も有名で、「いつか自分の店を持ちたい」という若手アーティストたちの登竜門ともなっています。

 東大路通を渡って西へ4分ほど、百萬遍知恩寺御用達の和菓子店「満月」本店へも立ち寄ってみてはいかがでしょう。もちもちとした生地の中に粒あんがたっぷり入った「阿闍梨(あじゃり)餅」は、京銘菓の代名詞的存在。比叡山で千日回峰行という厳しい修行を重ね、徳を積んだ僧侶が頭に被る網代笠がモチーフです。