巨大テック企業「GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック〈現・メタ〉、アマゾン、マイクロソフト)」の勢いが止まらない。GAFAM5社合計の株式時価総額は2020年、東証1部約2170社の合計を上回った。つまり、日本の会社が束になっても、GAFAMの成長にはかなわない。唯一、GAFAMと対決できる日本の企業は、ソニーグループだろう。だが、ソニーはGAFAMとは真っ向勝負しないと公言する。なぜなのか。ソニーを40年以上取材し続けて、このたび『ソニー 最高の働き方』を上梓した経済ジャーナリストの片山修氏が解説する。
GAFAMにはない
ソニー独自の強みとは
ソニーは、GAFAMにはない独自の強みを持つ。GAFAMが検索エンジンなどの特定の領域に特化するのに対して、ソニーはゲーム、音楽、映画、エレクトロニクス、半導体、金融の6つの事業分野を持ち、多岐にわたるビジネスの展開を持ち味とする。その厚みと多様性は、世界屈指である。
前回、「ソニーの経営方針説明会の光景が意外過ぎた!テレビもオーディオもなく…」で指摘したように、なかでもゲーム、音楽、映画のエンタテインメント3事業は、現在のソニーの収益の牽引役だ。3事業で連結営業利益の6割を稼ぐ。IP(知的財産)の活用が収益を押し上げているのだ。