「部下に厳しい人」が、厳しくする理由

 まず最初に注意していただきたいのは、部下に厳しい人とすぐ部下に怒る人を混同してはいけないという点です。部下に厳しい人というのは、部下のアウトプットに対する合格点の水準が高い人のことを指します。ただ怒りっぽいだけの人は厳しい人には該当しません。

 ここからは上司の視点で考えてみましょう。あなたが上司になった時に、自分なら簡単に出来るような仕事が出来ない部下がいたらどうするでしょうか。出来るようになるまで根気良く指導するでしょうか、それとも、これがその部下の限界だと諦めて出来ないことを受け入れるでしょうか。

 ここで部下に厳しい上司であれば、指導を通じて、その部下ができるようになるまで、多少のリスクを負ってでも待ち、根気強く粘るでしょう。時にはその部下の現時点での実力よりも少し高いハードルを設定するかもしれません。しかし逆に優しい上司の場合はどうでしょうか。きっと、「できないのは仕方ない」と判断して、サポートをしたり、時には自分で仕事を巻き取ってしまうこともあるでしょう。

部下に厳しい人は、部下の可能性を信じている

 これが部下に厳しい人と優しい人との違いです。部下に厳しい人は部下の可能性を信じていて、優しい人は部下の可能性を完全に諦めているのです。この部下だったら鼓舞すればここまで何とかできるようになってくれるはず、という上司の期待値がそのまま厳しさに反映されているのです。

 このようにすることで、部下のパフォーマンスも向上していきます。逆に部下に優しい上司は部下が育たないため、部のパフォーマンスも伸び悩みます。結果として、徐々に出世の確率が下がっていってしまうのです。

 このように、上司の目線、上司の質という観点で考えてみると上司の見え方も変わってきます。是非あなたの上司の「厳しさ」や「優しさ」が何に起因しているか考えてみてください。その先にコスパの高いサラリーマン人生が待っています。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者による特別な書き下ろし原稿です)