「すぐに甘える。人に頼ってしまう…。そんな自分を変える、たった1つの特徴を紹介しましょう」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「すぐに甘える」「人に頼ってしまう」そんな自分を変える、たった1つの特徴Photo: Adobe Stock

頼るのは悪いこと?

「また人に頼っちゃった…」「甘えすぎかな…」
 
そう思うことって、誰にでもありますよね。

 最初のうちは不安なことは聞いたほうがいいけれど、それが続くと「負担になるかも?」と「自己嫌悪」に陥りがちです。
「いつか自分で自分のことができるようになりたい」なんて思ったりします。

 でも、そんなふうに「変わりたい!」と思うとき、気づいたことこそ、自分を変えるチャンスでもあります

 今回は、頼りすぎちゃう自分を見つめ直して、ちょっとずつ自分で自分のことができるようになるヒントを共有しましょう。

「依存」の裏側をのぞいてみよう

 人に頼りすぎちゃうのは、もしかしたらあなたの対処するための行動が無意識に「依存型」になっているからかもしれません。

 これは依存型の対処行動とも呼ばれ、過去にあなたが体験した経験や、育った環境が影響しているのかもしれません。

 たとえば、子どものころに十分な愛情やサポートが得られなかった人は、大人になってからも人に頼りがちになったり、過度に過保護な環境で育ったことで「無意識に人に頼りすぎること」が刷り込まれていることもあるのです。

 さらに、過去に誰かに助けてもらって、それで困難が解決できたと感じていると「自分で決めるのが怖い」という感情が生まれて、失敗したくない、恥をかきたくないという気持ちが強いと、ついつい人ばかり頼るようになってしまうのです。

「頼ること」と「自立」のバランスって?

 まず大前提として、「頼ること自体は全然悪いことじゃない」と認識することが大事です!人間ってそもそも社会的な生き物だから、助け合うことは人生を生きるうえでとても大切なことです。

 でも、頼りすぎちゃうと「自分でできる!」っていう自信が持てなくなっちゃったり、自己肯定感が下がって結果的になにもできなくなってしまいます。
 そのため、「頼ることと自立のバランス」について意識してみましょう。

 そのためにはまず「どんなときに頼りたくなっちゃうのか」を知ることが大切です。

 不安なとき、疲れたとき、迷ったとき…そういう瞬間をリストアップしてみましょう。
 自分のパターンを知ることで、「あ、またこのパターンか!」って気づけるようになります。

 気づけるようになると、そこから「今回は少しだけ自分でやってみようかな?」と挑戦したり、対策について考えることができるようになります。

 たとえば、急な電話がかかってきて、いつもだったらすぐに誰かに聞きそうになるときに、まずは深呼吸して「自分でできることはないかな?」と考えるようになるだけでも、あなたのなかで変化が生まれます。大事なのは、小さなことから始めることなのです。

小さな成功を積み重ねてみよう

 自立には「自分に自信が持てるようになる」ことが大切です。

 ですが、だれでもすぐに自分に自信が持てるわけではありません。
 自信をつけるためには「小さな成功体験」を積んでいくことで、自然と、無意識に身についていくものなのです。

 普段なら誰かに頼っちゃうことを自分でやってみる。それがどんなに小さいことでも、「あ、自分でできた!」という経験を重ねてみると自信につながります

 脳的でも「自分でやれた!」と感じることが、ポジティブな感情を生んでくれることもわかっています。そうやって少しずつ成功を積み重ねていけば、次に同じような状況が来たときに「よし、次も自分でやってみよう!」って思えるようになりますよ。

 そんな体験を重ねるには小さなことから始めるのが大切です。
 前述したような電話の応答ひとつでも、成功体験はそれがどんなに小さかったとしても、「できた!」という感覚が得られればOK。

 それを積み重ねることで、ゆっくりとですが自信はついていくでしょう。

自分を大切にすることも忘れずに

「自立しなきゃ!」と思うひとは、焦りすぎてから回ってしまい、自分に厳しくしすぎてしまいます。
 誰でも最初から完璧にできないように、自立を目指すプロセスは焦らないことが大切です

 だから失敗したとしても、うまくいかなかったときに自分を責めるのではなく、「なんてダメな自分」と責めるのではなく、「今回はダメだったか~」くらいの気持ちでいることも大事です。

 自分を変えるのも自信をもつのも、植物が育つように時間のかかるもの、いつか「あの頃よりもずいぶん成長したな」と感じる日が来ればよいので、頼らないことも大事だけど、それ以上にゆっくりとした時間を意識することも大切なのです。

「すぐに人に頼ってしまう、そんな自分を変えたい」

 そう思うことは、自分を成長させたいという前向きな気持ちの表れです。

 まずは、自分がどんなふうに頼っているのか客観的に振り返ってみて、小さなことでも積み上げることで少しずつ自立していけるはずです。
 焦らず、ゆっくり進んでいきましょう。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。