「もっとわかりやすく」「うまくやってほしい」
はリーダー失格
メンバーがクライアント向けの資料を作ったが、明らかに質が悪い。センスも悪い。わかりづらい。そんなケースを想像してください。
メンバーに作り直しを指示しなければいけませんが、そのときに「これではNG」と伝えるだけでは、メンバーはどこをどう変えればいいのかわかりませんね。
かといって、「もっとセンス良く」「もっとわかりやすく」では、メンバーはイメージできず、結果的に何もできません。
でも、リーダー自身もどこが悪いか明確に捉えることが難しく、結果的に「もっとこう、なんというか、うまくやってほしい」など非常にあやふやなフィードバックになりがちです。
「練習メニュー」を提示する
ハーバード大学の研究によれば、そもそも人は、自分が認知している感覚の5%程度しか言語化できていません。そのため、上司が「なんとなく」でしか表現できないのも無理はないのです。
ではどうすればいいか?
リーダーはメンバーに対し、「練習メニュー」を提示するのです。
このケースのゴールは、「クライアントに認められるような、質のいい提案書を作る」です。
しかし、どこをどう変えればそんな資料になるかわかりません。なので、メンバーが毎日繰り返しやっていたら、質のいい資料が作れるようになりそうな練習を提示します。
スポーツの練習をイメージしてください。たとえば甲子園を目指している高校があるとします。監督が「甲子園に出られるようになれ」と指示しても意味はありませんね。監督やコーチに求められているのは、甲子園に出られるくらいの実力をつけるための練習を提示することです。
毎日スクワット100回、腕立て50回、30メートルダッシュ10本、などなど、それを日々こなしていけば甲子園に出られるような実力が身につくであろう練習を提示することが監督の仕事です。
クライアントに認められる質のいい提案書を作れるようになってもらいたいのであれば、部活の監督と同じように、それに向けての練習を提示しなければいけません。
● ビジネス雑誌の記事の見出しで、自分が好きなキャッチコピーを毎日3つ書き出してください
● クライアントに「最近、一番イラっとしたことは何ですか?」と質問して、答えを書き留めてください
などです。