シーン型、ヒリヒリ型、和気あいあい型、いずれにも良い面と悪い面がある。組織が悪気なく同じモードで突っ走ってしまい、あなたや仲間がやりにくさを感じているかもしれない。
 固定化した空気感を変えて柔軟に使い分けられるようになるために、あなたができることをお伝えしよう。

つらさや、やりにくさを率直に話す

「ちょっとした相談もしづらく、正直やりにくいです」

「怒号が飛び交っていると、テンションやモチベーションが下がります」

「見ていて気持ちよくないので、人前で叱責するのはやめませんか?」

「甘えが生まれてしまうので、ときには厳しい指摘も必要だと思います」

 このように、仕事をする上でのつらさややりにくさを、率直に上長やメンバーに話してみよう。人は言われないとわからない生き物である。察する文化に甘んじていては職場の空気は変わらない。上長との1on1ミーティングや職場の対話会などで伝えてみるのもよいだろう。

「モード」を宣言して切り替えてみる

 明示的にモードを宣言して雰囲気の切り替えを促すのも手だ。

 たとえば自由なアイデア出しの会議を始めるとするなら、「ここからは和気あいあいモードでいきましょう」のように宣言してみてはどうだろう。同時にお菓子でも配ってみれば、それだけでも緊張ムードが和らぐ。

 逆に緊張感を必要とする場面では「ここからは気持ちを引き締めてヒリヒリモードでいきましょう」と宣言してみる(ヒリヒリが憚(はばか)られるなら、緊張モードなどに言い換えてもよい)。「では、各自作業に集中しましょうか。ここからはシーンモードで」などと言ってみてもよい。こうして明示的にモードを切り替える習慣を職場にインストールするのだ。

仮想空間を創ることで意識を切り替える

 筆者は和気あいあい型の空気が色濃い職場でディベートを実践したことがある。あるテーマに対して肯定派と否定派に分かれて意見を戦わせるゲーム形式の議論である。

 あえて「ディベートの時間」として設けて、日常や普段の関係性とは切り離した、ある意味での仮想空間を創ることで、否定的かつ批判的な意見も言いやすくなった。これも、和気あいあいを重んじる職場で厳しい指摘をしやすくするための景色の変え方である。

一歩踏みだす!

 ・つらさややりにくさを率直に話してみる
 ・モードを宣言して、空気を切り替える 

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。