そんな現在の社会は、無縁社会と称されます。「今だけ、お金だけ、自分だけ」という社会です。人と人、世代間のつながりは切れ、価値観が共有されず、みんなが自分のことだけを考えるような社会です。その中では自然も自分とは関係ないものと見なされます。

 かつては世代間をつないできた祭りも、外からのお客さんも参加して楽しむイベントの色合いが強くなっています。そしてコロナ禍以降は、数百年続いてきたような祭りが中止となり、そのまま復活することなく途絶えるケースも出てきました。あるいは岩手県の蘇民祭のような1000年以上続くとされる祭りが、担い手不足によって終わってしまうことも出てきています。

労働生産性を求めたことで
失われてしまった人間関係

 このような社会をつくったのは、筆者たちの世代です。私自身も若い頃は、社会の進歩とは、暮らしの中での煩わしさを捨てていくことだと思っていました。そして合理性や経済性、効率性を重視して、便利な社会とサービスをつくることに取り組んできました。江戸期のような資源生産性ではなく、労働生産性を追い求めた世代です。