中小企業同士のM&Aでトラブルが頻発していることを受けて、M&A仲介会社の存在に注目が集まっています。そこで、M&A仲介業界最大手で「絶対王者」として君臨する、日本M&Aセンターの内情に迫った特集を再配信します。(記事初出時:2023年2月1日、※内容は全て記事初出時のまま)
日本M&Aセンターホールディングス(HD)の急成長を支えてきたのは、全国の地方銀行と証券会社などの金融機関、会計事務所などの情報網だ。しかし今、一部の地銀や証券会社で、日本M&AセンターHDと距離を置く動きが顕在化し始めている。新興のM&A仲介会社の営業攻勢に加え、不適切会計を起こしたガバナンス問題が影響しているとみられる。特集『日本M&Aセンター 砂上の「絶対王者」』(全6回)の#3では、「最強ビジネスモデル」のほころびをレポートする。
絶対王者を支える唯一無二の
「最強ビジネスモデル」とは
10年前の2012年3月期にわずか60億円だった日本M&Aセンターホールディングス(HD)の売上高は、22年3月期に約7倍の404億円に急成長。現在、同業他社を寄せ付けないM&A仲介業界の「絶対王者」として君臨している。
そんな絶対王者を支えているのは、「他社には追い付けないネットワーク」だと、複数の現役社員や同業の幹部は口をそろえる。それは全国の地方銀行や信用金庫、会計事務所、証券会社、最近ではメガバンクから、事業の売却や買収に関する情報を集める仕組みで、絶対王者の地位を揺るぎないものにした「最強ビジネスモデル」といえる。
だが今、足元でその最強ビジネスモデルにほころびが見え始めている。最強ビジネスモデルとはどのようなものか。そして、なぜほころび始めたのか。次ページで詳しく解説していく。