激変!3大士業の仕事&稼ぎ方 弁護士 会計士 税理士#10Photo:Kutay Tanir/gettyimages

中小企業同士のM&Aでトラブルが頻発していることを受けて、会社を売りたいオーナー経営者と買い手企業の間に立ってM&Aの成立を支援する、M&A仲介会社の存在に注目が集まっています。そこで、特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』から、以下の記事を再配信します。(記事初出時:2024年3月15日 ※記事内容は初出時のまま)

中堅税理士法人の税理士法人ベリーベストが4月、M&A仲介業へ本格的に参入する。これまで顧問先でM&Aが行われる場合は、日本M&AセンターなどM&A仲介の専業会社に依頼し、協業することが多かった。それをなぜ自前で取り組むのか。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』(全12回)の#10では、その背景を探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

税理士法人ベリーベストが考える
海千山千のM&A仲介市場攻略法とは

 税理士法人ベリーベストが2024年4月、中小企業のM&A(合併・買収)仲介事業に参入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。すでにM&A仲介業の経験者採用を始め、事業立ち上げに向けた体制整備を進めている。

 中小企業庁の試算によれば、25年までに後継者不在により黒字廃業を余儀なくされる中小企業は60万社に上る。放置していれば雇用や技術、大企業のサプライチェーンが崩壊しかねない。その危機を乗り切るため、国は事業承継のためのM&Aで使える税制優遇策や補助金を用意するなど、M&Aは国策として推進されている。

 こうした背景もあり、M&Aの件数は急増中だ。3年連続で年間4000件を超えている。

 故にM&A仲介事業には新規参入企業が相次ぎ、ここ数年活況を呈している。だがM&A仲介業界には、営業力やノウハウ、人材などで圧倒的な強さを誇る絶対王者、日本M&Aセンターが君臨する。

 海千山千のM&A仲介会社がしのぎを削る市場に、税理士法人であるベリーベストはなぜ参入することを決めたのか。差別化をどのように考えているのか。次ページで詳しく解説していく。