上の図の「コスト上昇」の主な要因を見返してみて、ひとつの共通点に気づかないでしょうか? これらの要因の背景には、例外なく「社会問題」があります。

 燃料費の高騰は、ウクライナ戦争をはじめとする世界各地の紛争・戦争が背景にあります。天然資源の高騰も、地球温暖化による気候変動と無関係ではないでしょう。貧困や格差の問題を解決するために一定のコストがかかることは、疑う余地がありません。

 社会問題にかかるコストは「社会的コスト」と言えます。

 社会問題が増大すればその分コストは上がり、さらにそうした社会問題を解決するための取り組み・努力もコスト要因になります。ですから、コスト増や、コスト増を価格に転嫁する値上げは、「社会問題への活動量」ということができるのです。

 逆に言うと、社会問題に起因するコスト高はすべて、その問題が解決しない限り、延々と続いていくということです。

 先の未来を見据えても、地球や社会が現状よりよほど良い方向に向かわない限りは、社会問題に対峙し続けることになります。そしてその間にも、次々と新たな社会問題が発生し、そのたびにそれに伴うコスト増要因が発生し続けるでしょう。

 しかし本来、社会問題はその社会全体で共有されるもの、社会全体で協力して向き合わなければならないものです。

 社会問題から派生したコスト増も、一部の生産者や販売者だけが負うべきものなのではなく、本来、社会全体で、社会で生活している者たち皆で負担すべきもののはずです。

 とはいえ、消費者や顧客に対し、企業が、「社会問題は皆の問題だから、社会問題が原因によるコスト増も皆で負担し合うべき。ですから値上げさせていただきます」などと言えるはずがありません。理屈で説き伏せるのではなく、あくまで消費者・顧客に、自発的に「納得してもらい、受け入れてもらい、買ってもらえる」商品・サービスにする必要があります。

お客さんが共感・参加する「応援してもらえる値上げ」に!

 コストに対する発想の転換を、どうすればお客さんに理解してもらうことができ、納得を得られるか。

 そのカギを握るのは「共感と参加」です。「社会課題を解決するための活動量」が上昇していることをお客さんに誠実に伝え、「共感」してもらう。そして、その活動にお客さんにも「参加」してもらうのです。