値上げの原因をひとつに特定するなら、間違いなく「コスト」の上昇です。円安になれば、当然ながら海外に頼っている原材料やエネルギーのコストが上がります。もちろん、国内外の物流コストも上昇し、人件費コストも上昇します。

 ありとあらゆる商品・サービスのコストが上昇することによって、企業としてはこれまでと同じ値段で販売すると、利益が上がらず、値上げせざるを得なくなっている。そんな厳しい現状に、皆さんは日々、向き合っていることでしょう。

ビジネスパーソンのほとんどは、「できれば値上げはしたくない」

 コスト上昇は避けられない社会問題ですが、ビジネスにたずさわるほとんどの人は、消費者であるとともに、商品やサービスを製造・販売、提供するサプライヤーでもあります。

 消費者であればいまの値上げラッシュは「たまったものではない」と思うでしょうが、サプライヤーとしても、たび重なる値上げによって商品やサービス、お店からお客さんが離れていってしまうのではないかと心配し、「できれば値上げはしなくない……、皆に納得して喜んでもらえる価格で商品やサービスを提供したい」というのが、ほとんどの人の思いではないでしょうか。

 しかし、コストの削減は限界にあります。国内では物価が長らく抑えられていたこともあり、これ以上、価格を維持したままコスト上昇分を企業側で吸収することできない状況です。

 自社内部の努力では立ちゆかず、コストの上昇が不可避となっているいま、それを切り抜けるには「値上げ」しかありません。

 そこで大事なことは「どう値上げするか」です。