「甘えを許さない」JAL報告会
特に、不当な叱責が行われると観察者が上司や職場への不信感を抱き、職場環境が悪化するリスクが高まる。上司に求められるのは、「責任の有無を確認し、公正に対応する」ことだ。誤った情報に基づく叱責は、同僚や観察者に「この職場は不公平だ」との印象を与えかねない。
そのため、上司は事実確認に手間を惜しまず、根拠を持って指導することが必要である。正当な叱責が行われれば、観察者も「信頼できる職場」と感じ、チーム全体の士気も高まる。
冒頭で触れたJALの報告会における稲盛氏の叱責は、職場の「公正さ」にもつながっている。先の実験が示すように、「公正な叱責」は職場の信頼感を高める一方、曖昧な情報や誤解に基づく叱責は士気を低下させるリスクを伴う。
JALの報告会では、業績の良し悪しにかかわらず厳しい指摘をすることで、幹部たちに「甘えを許さない」「結果のみならず過程も評価する」という公平な姿勢を示していた。
公正な叱責が職場全体に浸透すると、社員は「この会社では努力が正当に評価される」と感じ、さらに信頼感を持つようになる。
では、なぜ稲盛氏はここまで厳しい叱責を続けたのか?