「上司も部下も、社会人全員が一度は読むべき本」「被害者や加害者にはならないためにもできるだけ多くの人に読んでほしい」と話題沸騰中の本がある。『それ、パワハラですよ?』(著者・梅澤康二/マンガ・若林杏樹)だ。自分はパワハラしない、されないから関係ない、と思っていても、不意打ち的にパワハラに巻き込まれることがある。自分の身を守るためにもぜひ読んでおきたい1冊。今回は特別に本書より一部抜粋・再編集して内容を紹介する。
「話しかけづらい雰囲気」だけではパワハラにはならない
上司がイライラして、八つ当たりする。ため息をつく。話しかけても無視する。
上司も人間なので、ある程度の感情の起伏はしかたがないですが、無視や八つ当たりによって仕事がしにくくなるのは、部下にとっては勘弁してほしい状況です。
上司の感情的な言動は、法律的に問題がないのでしょうか。
意外かもしれませんが、上司の表情や発言から不機嫌な雰囲気が感じられる、上司に話しかけづらい雰囲気がある程度では、パワハラだという評価はまずありえないといえます。
なぜなら、パワハラかどうかを判断する前提として、「相手による加害行為はある程度具体的に特定される必要がある」からです。
もっとも、そのような雰囲気を感じさせる原因となった上司の行動が、「ある程度具体的に特定できる」のであれば、それぞれの行動についてパワハラかどうかを判断することは可能です。
次から具体的に見ていきましょう。
大声を出す、舌打ちする…ヒステリックな言動がある場合は、パワハラになる可能性も
30代男性。直属の上司は感情の起伏が激しく、上司が不機嫌なときに話しかけると、「自分でちゃんと考えたのか!」などと大きな声を出し、全部を却下したりやり直しさせたりする。ため息をついたり、舌打ちをしたりするので、怖くて話しかけられない。
上司の不機嫌が爆発して、業務を指示するたびに大声を出したり、仕事の質問をすると、露骨に舌打ちしたりする。
このような上司の態度では部下が萎縮して当然です。
職場では上司・部下の間でも最低限の敬意や配慮は必要であり、そのような敬意や配慮のない言動は相手を萎縮させ、ひいては業務が円滑に進むのを阻害することにつながります。
今回のケースのように、上司がヒステリックな言動を繰り返せば、部下の職場環境が悪化することは間違いありません。
職場で感情的にふるまう業務上の必要性は、基本的に認められません。
このことをふまえると、上司がヒステリックな行動を繰り返すことは、パワハラに該当する可能性があるといえます。