失敗を踏まえて…Overtureを比較分析すると?
それでは、コンコルドの教訓を踏まえて、Boom TechnologiesのOvertureを分析してみよう。Overtureは外寸の全長が約61m、翼幅が約32mと大きさはコンコルドとあまり変わらないが、環境や商業面での性能は大幅に向上している。
まず、ゼネラルエレクトリック製のエンジンを3台搭載することで、離陸時の騒音を軽減した。コンコルドが開発された1960年代から半世紀以上が経過し、エンジンの性能がはるかに向上しているため、騒音の元となっているアフターバーナーなしでも超音速飛行が可能となっている。
燃費も向上し、コンコルドでは不可能だった日本から北米西海岸への飛行も可能だ。さらに、植物由来の持続可能な航空燃料(SAF)に100%対応しているなど、現代のエアラインに求められる環境性能も満たしている。
定員は64~80人と、コンコルドより少ない。エアラインは、顧客の満足度を高めるためにより広い座席ピッチをとることが多く、実際の定員は55席程度になることも考えられる。
Boom Technologiesのブレイク・ショール氏は、「(定員を抑えることにより)空席が少なくなることで、ビジネスクラスの料金でも十分採算を取れる」と米国メディアのインタビューで語っている。ただ、非常に高額だったコンコルドよりも座席数が少なくなることから、果たして本当にこの席数かつビジネスクラス相当の運賃で収益性があるのかは注視したい。