旅客便として不可欠な課題も山積
最後に、筆者の考えるOvertureの課題(運航面)をいくつか述べたい。まず、超音速旅客機というと、環境への悪影響や墜落事故などによ
そして、ソニックブームや騒音などについては、前述通りコンコルドよりは大幅に改善されてはいるものの、航空当局や空港周辺住民に十分に理解してもらえるかもポイントだ。
また、料金については、どんなに安くてもビジネスクラス相当の料金になると思われる。航空会社によってはファーストクラス相当か、かつてのコンコルド同様さらに上の運賃設定になるかもしれない。
その場合、短くなる飛行時間の中で、いかに富裕層やマイレージの上級会員に納得してもらえるような上質なサービスを提供するか、エアライン側も大きく問われることになる。現に、米国ではニューヨークからワシントンD.C.など飛行時間が短い路線にもかかわらず、ラウンジや機内食を過剰に充実させて結果的に失敗した事例もある。
もし、日本~東南アジアで導入される場合は、飛行時間が中長距離便相当から東京~石垣と同じくらいの短距離便相当になる。運賃と提供サービスのバランス、航空会社の戦略が問われることとなりそうだ。
そして、日本での運航を考えると、一般消費者から不安視する声もあるかもしれない。ただ、コンコルドは羽田空港や関西空港、長崎空港での乗り入れ実績がある。成田空港のA滑走路も4000mありコンコルドに対応する前提で作られているため、超音速旅客機は離着陸可能だ。それゆえ、航空当局がどのように判断するかが問われるだろう。
JALがコンコルドの導入を断念してから半世紀以上が経過した。ついに超音速旅客機が日本にやってくるのか。今後の動きに大注目である。