M&Aによる店舗獲得競争は、もう古い?
アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイへ買収提案をしたニュースが出てから2カ月以上が経った。買収提案の金額は、あっという間に7兆円規模にまで上がっているという。クシュタールの成長を支えてきたのがまさしくM&Aであり、中規模のチェーンを取り込みながら成長し、北米で第2位まで上り詰めてきた。
一方、米国セブンも同様にM&Aで成長してきた。現在の店舗数(約1万3000)の半数以上はM&Aによって手に入れた店舗である。
他方で、急速に直営店舗網を拡張させるライバルとして、Quik TripやWAWAなどガソリンを低価格・大量販売するHigh Volume Retailerがいる。米国のコンビニとガソリン販売は切っても切り離せない関係なので、High Volume Retailerは顧客数を拡大している。
そして、そうしたビジネスモデルを基に、従来型コンビニではできない豊富な品ぞろえを実現している。特に、旋風を巻き起こしたのがフード・飲料を強化するクイック・サーブ・レストラン化である。
2005年頃からHigh Volume Retailerは飲食を強化し始めた。高品質なフードと多種多様な飲料を、センスの良い統一された店舗網で販売し、着実に売り上げを伸ばしていく。直営店舗網は、統一フォーマットでどこでも同じ快適さとサービスを受けられることを売りにし、M&Aによる拡張ではできない魅力を作り上げていった。
従来型コンビニチェーンは、本部が魅力的な商品を開発し、それを多数の店舗で展開し売り上げを積み上げる、店舗数を基礎にするチェーンであり、客数でこれを実現するHigh Volume Retailerとぶつかりあっている。コンビニが厳選した5種類のコーヒーを始めると、High Volume Retailerは10種類で売り出す、といった具合だ。店舗面積が限定されるコンビニのアイテムは限定せざるを得ない。
一方で、小型店舗が分散している状況は、急速に拡大するデリバリー市場に対しては優位性がある。米国セブンの店舗の2マイル以内には米国人口の50%が、1マイル以内に30%が住んでいるとしている。これは、7NOWデリバリーのパワーの源泉になっている。