先ほどのエンゲージメントの話に戻しますと、日本企業のわずか5%の従業員しかエンゲージしていない理由は明らかで、日本企業の人事制度が機能不全に陥っているからです。

 テレビで東京・新橋を歩いている会社員たちにインタビューしているのを見たことがあるのですが、エンゲージできていない理由について、彼らは「仕事をやってもやらなくても給料もボーナスも変わらないから」と答えていました。

 私には、日本企業の従業員のエンゲージメントと生産性が低い理由がこの一言に凝縮されているように思います。

 日本では、世界で唯一「新卒一括採用」が行われています。この新卒採用の弊害はいくつかあるのですが、まず1つ目は「効率が悪い」ということです。

 アメリカでは、インターン制度というものがあり、大学生は大学2年から3カ月ある長い夏休みを利用し、就職を希望する会社でインターンとして働きはじめ、そこで実質的な「研修」を済ませてしまいます。

 その会社での仕事をだいたい覚え、社内の人々ともコミュニケーションが十分に取れている状態で大学を卒業して晴れて入社するわけです。ですから、アメリカの大卒新入社員はほとんどが研修期間を経る必要がない「即戦力」なのです。