ところが、日本はこの逆を行ってしまっているので、社員が多くなることで、同期社員も多くなり、その同期社員の中から一部だけが管理職に就くことになります。その結果、どう頑張っても管理職になれない、出世できない社員が多く存在することになり、彼らがぶら下がり社員予備軍となってしまうわけです。

 つまり、社員が多すぎるので、彼らのモチベーションを上げるような人事評価システム・昇進システムを企業は用意することができず、必然的に多くの社員は「働こうが働くまいが給料が変わらない状況」に置かれてモチベーションが上がらず、エンゲージメントが低下し、結果的には企業全体の生産性まで下がってしまうというわけです。こういったことが、日本全体で起きているのです。

 これは、完全に日本の企業慣習が生んでしまった弊害だと思いますし、その企業慣習にこれまで疑問を抱いてこなかった日本人全体の責任でもあると思います。

 私は、東証に上場している複数の企業の顧問を務めさせていただいているのですが、そのオーナー社長さんと最低でも1カ月に1回くらいは面談をしています。最初にお会いした時に、社長さん全員に決まってこういう質問をすることにしています。

「御社には、今日付で何人の正社員がおられるのですか?」