積み上げ型プラス循環型のプログラムに

新しいコースは「ウェルビーイング」に向けた取組みでもある新しいコースは「ウェルビーイング」に向けた取り組みでもある 資料提供:千代田国際中学校
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――木村先生はパリで開催されたOECD(経済協力開発機構)の国際会議にも参加していますよね。

聞き手 後藤健夫(ごとう・たけお)
教育ジャーナリスト。1961年愛知県生まれ。南山大学卒業後、河合塾へ。独立して大学コンサルタント。早稲田大学法科大学院設立に参加。元東京工科大学広報課長、入試課長。現在、日本経済新聞などに連載。
聞き手 後藤健夫(ごとう・たけお)
教育ジャーナリスト。1961年愛知県生まれ。南山大学卒業後、河合塾へ。独立して大学コンサルタント。早稲田大学法科大学院設立に参加。元東京工科大学広報課長・入試課長。現在、日本経済新聞などに連載。  Photo by Kuniko Hirano

木村 はい。ウェルビーイングは、その時に議論されたOECD「Learning framework 2030」のゴールとして示されています。SDGsとの親和性も高いです。

 また、OECDが実施している世界的なPISA(学習到達度調査)の結果を見ると、日本の子どもたちの数学的・科学的リテラシーはOECD加盟国でもトップクラスなのに、それを生かした職業に就きたいという意欲に乏しいという結果が出ています。子どもたちが学ぶ楽しさを感じ、自分たちが世界をより良くしていけるのだと思えるよう、生徒の主体性を軸とした研究的な学びを進めていきたいです。

――それをどのように学校のプログラムに落とし込んでいきますか。

木村 基礎となる知識を学んでから応用・活用へと進む従来の「積み上げ型」のプログラムだけではなく、社会課題や自分の興味を入り口に、応用・活用から基礎知識の獲得へと向かう学びも取り入れた「循環型」のプログラムの必要性を強く感じています。探究やPBL(課題解決型学習)と教科との接続を明確にしながら、学校のカリキュラムマネジメントを進めています。

――中学校の新コースはどのようなイメージでしょう。

木村 専門家と共に「ラボ」に所属し、人類がいまだ解決できていない問題にアプローチしたり、「0」から「1」の新たな価値を生み出したりする「研究(Research)」コースが1クラス、中学では時間割の中の週4コマと放課後に研究活動を行い、高校からは理系のカリキュラムの中でさらに専門性を深めていきます。

 一方、社会人と共に地球の未来を考え、世界を変えるような「1」を「10」にしていく「開発(Development)」コースは2クラス。教科の枠を超えて実社会とのつながりをもって学ぶLAP(リベラルアーツプロジェクト)が週4コマで、中2からは多様なテーマでプロジェクトを企画し実行することに挑戦します。高校ではそのプロジェクトを継続することもできますし、新たに個別のプロジェクトを立ち上げることもできます。

 定員に空きがあれば、高2進級時まで入学後のコース変更が可能です。基準はありますが、高2からはIB(国際バカロレア)コースも選択できます。学内でもさまざまな進路展開ができるようにしたいと思います。