薬不足はいつ終わる?ジェネリック再編#6Photo:PIXTA

ジェネリック医薬品(後発薬)業界関係者の間で、再編後に生き残る会社は約190社のうち「30~40社」といわれている。特集『薬不足はいつ終わる?ジェネリック再編』の#6では、ジェネリック医薬品業界で5年後に生き残る会社の条件を分析する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

ジェネリック医薬品業界で
5年後に生き残る会社の条件

 小林化工、日医工、沢井製薬という、取扱品目の多いジェネリック医薬品(後発薬)業界の主要プレーヤーが相次いで品質不正問題を起こしたことで、薬の供給不安はいまだ終わりが見えない。

 一連の品質不正問題を引き起こした直接的な原因は、法令順守意識の低さや異常なほど上意下達が跋扈している企業文化にあったのは間違いない。しかし、薬不足がこれほど長引いている根源には、かねて指摘されてきた後発薬業界の構造問題がある。

 多くの有効成分では、同一成分に対して複数のメーカーが後発薬を製造・販売している。そのため国は薬の供給不安解消として、品質不正問題で業務停止となったメーカーの代わりに、同一成分の薬を扱う他社に不足分を増産させようとした。

 しかし、日本の後発薬業界は市場規模に対して企業数が多い上、取扱品目が50品目以下の中小企業が半数以上を占めている。しかも取扱品目数の多い業界大手が品質不正を起こし、その供給量を補えるようなキャパシティーがあるところはほぼない。

 薬の供給不安が始まって今年で4回目の冬を迎える。日本は国民皆保険であり、国民は健康保険料をほぼ強制的に徴収されている。この制度下で、これほど長期間、必要な医薬品が入手できないという状況を放置はできない。そこで国は、薬価制度改革を敢行。これまで放置されてきた後発薬業界の構造問題の根本解決に乗り出した。

 今年4月に公開された政府の専門家会議がまとめた報告書案は、5年程度の集中改革期間を設けて業界再編を促すとしている。現状で190社あるとされる中で5年後に生き残るのは「30~40社」というのが、後発薬業界関係者、業界アナリストらの共通した見解だ。

 次ページでは、業界再編後に生き残る企業の条件を明らかにする。