そのため、周囲の問題と、メンバー本人の問題を切り分けた上で、改善できる部分を見いだして、「常に、自分自身のモチベーションを適切にコントロールできる」ように、メンバーを育成していくことが上司としての務めだといえるでしょう。

 上司がやるべきことは、部下のモチベーションを上げることではなく、部下にモチベーションコントロールの方法を教えることなのです。

ポジティブに、カジュアルに
相談に乗ろう

 その前提を踏まえた上で、ここからは、モチベ―ションが下がっているメンバーとのコミュニケーションにおけるテクニックをご紹介していきます。

 まずは、「ポジティブに話す」ことです。明るい感じで、重くならないようにしましょう。

「元気ない感じだけど、大丈夫?」「仕事でなんかあったなら、相談乗るよ?」などの軽い感じが良いと思います。飲みニケーションがお互いに無理でない関係性なら、食事に誘うのも一案だと思います。

 そもそも、何か不安があったり、何か困ったことがあったりしたときに、気軽に相談できる相手が社内にいることは、とても大切です。あなたは、チームメンバーとそういう関係性を築けているでしょうか。

 もちろん、組織が大きくなっていくにつれて、上司であるあなた自身が全員とフランクな関係を築くことは難しくなります。そういう時には、別の誰かが相談相手になるように仕向けていくことが好ましいでしょう。

 悩みを持っている社員と年齢の近い先輩社員や、直系ではない上司(隣の課の課長など)が、仕事以外の話も含めて、カジュアルに相談に乗れるような関係性を築いていることが理想です。

 なお、その際に、「相談の乗り方」を先輩社員に指導することができればなお良いです。先輩社員がどんな相談に対してどういうアドバイスをしたのかなどを確認しながら、アドバイスの仕方や内容についてさらにアドバイスをするという形にできれば、「リーダーを育てる」ことにもつながります(もちろん、なんでもかんでも上司に報告させるのは、“相談に乗る”という観点ではマナー違反ですので、常識と良識の範囲内に留めましょう)。