しかし、本人にとっては深刻な問題です。そこを突き放したり、上から目線で否定したりしても、誰も幸せになりません。そもそも、これは「相談に乗る」という話です。指導することは求められていません。

 そのため、「分かるよ」「そういうことは、よくあるよね」「君が悪いわけじゃないよ」「たしかに、それは問題だよね」などの、同意を示す相槌を多用すると良いでしょう。

 一方で、「明らかに間違っている」内容の発言がでてくることもあります。そうしたときには否定したい気持ちになると思いますが、グッと堪えて「そういう考え方もあるよね」のような “内容には合意しないが、相手の感情には同意を示す” 表現を使うようにしておきましょう(間違った内容に合意した、となると、後から問題になるケースもあるので、注意が必要です)。

明日からのアクションにつながれば
パーフェクト!

 さて、こうして一定時間話していると、相手のモヤモヤはある程度晴れてきているはずです。愚痴や不満は、ため込んでいるとどんどん増幅します。外に吐き出してしまえば、それだけで解消する部分も多いのです。

 もちろん、問題そのものは本質的には何も解決していないのですが、本人の心理的な状況については、この時点で改善の方向に向かっていると言えます。つまり「話を聞いたことで、モチベーションが上がる方向に誘導できた」わけです。

 この状況になると、相手は、自分自身の状況を自分なりに整理して理解しています。そして、ある程度の対策も見えているはずです。

 例えば、

・あのお客さんとの商談には、できるだけ先輩に同席してもらうようにしよう
・あの先輩と話すときには、もっと物事を整理してから行くようにしよう
・分からないことがあったときに、後で調べたらいいやと思うのはやめて、その場で質問するようにしよう

 などといった、具体的なアクションにつながっていれば、申し分ありません。過去に対するモヤモヤの話を、明日からの動き方の話に変換できていれば、あなたは、相談を受ける立場としてパーフェクトです。