話を聞くときの鉄則
ヒアリング8:アドバイス2

 話を聞く際には、アドバイスをしたくなる気持ちをグッと堪えましょう。

 感覚的には、ヒアリングとアドバイスの割合を8:2くらいにすると良いと思います。実際には、ついついアドバイスをしてしまうものなので、8:2を目指した結果、終わってみれば6:4とか5:5くらいになってしまっていると思います(私もそうです)。

 最初から5:5の気持ちで行くと、8~9割が、アドバイスになってしまいます。本当に気を付けたいものです。

 また、相談を受ける際に、相手の悩み事がきちんと整理されている、まとまっているなんてことは、まずありません。ましてや、こちらから「どうした?話を聞こうか?」などと持ち掛けている場合には、なおのこと、ぐちゃぐちゃな状態でしょう。

 そのため、話を聞きながら、相手の悩み事を整理していくことに時間を使うことになります。「それは、どういうこと?」「こういうことで困っているという理解で合っている?」「似たようなことは、これまでにも何回かあったの?」などの質問を重ねて、相手の状況を理解することを目指しましょう。

 また、自分の過去の経験などを話す場合にも、そういう相手の状況を引き出すために、自分の例を使うように心がけると良いと思います。「俺はこんなにすごかったんだ」という自慢話ではなく、「若い時にこういう苦労をして、こうやって乗り越えたんだけど、○○さんは、今まさに似たような状況にいるのかな?」という活用可能な経験談の例として話すイメージです。

「大したことない」と思っても
可能な限り、寄り添う

 そうやって話を聞いていくうちに、悩み事の概況がつかめてくると思います。

 おそらく、悩みの大半は「そんなことに文句を言っても仕方ない」「それは、我慢するしかない」「まぁ、時間が解決するのを待つしかない」というようなものです。

 それは、相手の能力が低いということではなく、得てして、「悩み事なんてそんなものだから」というお話です。また、あなたにとっては、すでに経験して乗り越えた「過去のこと」について悩んでいることも多いので、相対的に、大した問題じゃないなと見えてしまうわけです。