「久我山」と「宝仙」の人気入試回

 中野区内には、東京都立富士高等学校附属東京大学教育学部附属という二つの国公立中高一貫校がある。双子や三つ子の比較研究で有名な東大附属はともかくとして、難度的には富士が区内トップとなる。

 杉並区と中野区には七つの私立共学校があるが、人気と難度の点では國學院大學久我山(杉並区)が代表的な存在だろう。いずれの入試回も3倍超の人気だ。構内では男女別学となるが、24年の実績は男女合計の数値で見ていこう。

 2回設けられた男子部の一般と女子部の一般を改編したCC(カルチュラル・コミュニケーション)入試で、男子120人・女子70人が募集される。[1日1回男子一般女子CC]と[2日2回男子一般女子CC]は、受験者数255人・実倍率3倍と同じく463人・3.05倍と比較的受けやすいこともあってか、志望者数は1割半と2割それぞれ増えており、25年はいずれもさらに倍率が上がりそうだ。 

 最難関国公立大学の現役合格を目指す特別進学クラスSTは、男子80人・女子50人を3回に分けて募集している。[1日午後ST1回]は658人と最多の受験生が集まり、3.89倍(23年3.68倍、22年2.91倍)と年々ハードルが上がってきたが、志望者数は1割弱減で、25年は23年並みをうかがう展開だ。[3日午後ST2回]と[5日ST3回]は、いずれも志望者数が1割程度増えており、24年受験者数・実倍率の444人・7.53倍と233人・6.13倍が、25年はさらに上向く可能性が出ている。

 全体的な日本大学系列校の人気緩和傾向は、他大学進学志向が比較的強い日本大学第二(杉並区)でも顕著で、25年入試はだいぶ受けやすくなりそうだ。男女それぞれ120人ずつを4科入試で募集する。24年実績で見ると、[1日1回]は348人が受験して実倍率1.96倍(23年2.14倍、22年2.58倍)、[3日2回]は350人で3.24倍(23年3.43倍、22年4.19倍)だった。志望者数は3割弱減と1割強減で、25年の1回は1倍台半ば程度のかなり狙い目の入試回になる可能性が高そうだ。

 順天堂大学の系属校となった宝仙学園共学部理数インター(中野区)が、区内に3校ある中位校の中では頭一つ抜けて、中堅校と呼べる状況になっている。25年も、2科・4科型、公立一貫型、プレゼン型、アクティブラーニング型、読書プレゼン、オピニオン、英語ALと、細かく区分した多彩な入試を従来通り実施する構えだ。24年の受験者数が多い入試を取り上げ、系属校効果についても見ておきたい。

 受験者数が100人を超える入試回は五つあり、そのうち三つは公立一貫校の模試的な「適性検査入試」で、これらの合格者が入学する割合も大きいとみられる。363人が受けて実倍率1.35倍の[1日公立一貫型]、175人で1.55倍の[2日公立一貫型]、 131人で2.22倍の[4日公立一貫型]は、25年も同様の競争状況が続くことになりそうだ。

 残り二つは教科型入試。24年に133人で1.75倍の[2日午後2科4科]は、25年に「新4科特別総合(特待選抜)」に変更される。志望者数は3割弱減っているが、どうなるか。

 129人で1.37倍の[1日午後新4科特別総合]は、25年は「医学進学(特待選抜)1回」に衣替えする。志望者数は3割増と好調だ。さらに、[4日午後医学進学(特待選抜)2回]も新設することで、順天堂大学医学部医学科への推薦枠を目指す生徒の確保に注力する姿勢をはっきりと打ち出した。いずれも算数と理科の2科で、不合格となっても2次選考の際、英語資格による最大30点などの加点もある。