少しの運動でも「メンタル」がよくなる理由・ベスト1とは?
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
寒い冬こそ運動を
「運動は心と体にいい」と一度は聞いたことがあるでしょう。
でも、実際に始めるのはなかなか難しいものです。
しかし、「なぜ運動が心や体にいいのか?」を深く知れば、運動を始めるモチベーションになるかもしれません。
本記事では、「運動がメンタルにいい理由」についてお話しします。
運動がメンタルに良いのはなぜ?
私自身、ストレスで心がいっぱいになりそうなとき、偶然散歩をして運動の大切さに気づいたことがあります。
外に出て新鮮な空気を吸い、少し歩くだけで体がポカポカし、気持ちが軽くなることってありますよね。
実は、そんな軽い運動でも体に変化が起こり、メンタルヘルスが大きく改善されることがわかっています。
たとえば、体に起こる変化として、運動によって全身の炎症反応が抑えられると考えられています。
この炎症反応が慢性的に続くと、憂うつな気分や不安感が生じるとされています。
しかし、運動で炎症が抑えられると、気分が落ち着くだけでなく、努力や意思決定を行う脳の機能が改善し、疲労感の軽減や認知機能の向上といったよい効果が生まれます。
また、気分が落ち込んでいる人では、不安やイライラを抑える神経伝達物質「セロトニン」が脳内で低下していることがあります。
運動はこのセロトニンが関わる脳の機能を改善することも知られています。
足や手を動かすだけの些細な行動に思えるかもしれませんが、小さな変化でもメンタルヘルスに大きな影響を与えることがあります。
運動は、コストパフォーマンスに優れたリフレッシュ方法なのです。
それでも始める気にならない…
しかし、寒い冬だと「寒いし、運動なんてしたくないな…」と思うかもしれません。
その気持ちはよくわかりますが、寒くなるこれからの季節こそ運動を試してみる価値があります。
暖かい部屋だと、つい横になってダラダラ過ごしがちですよね。
でも、その合間にストレッチをしたり、少し体を動かしてみてはどうでしょう?
ほんの少し動くだけで全身に血が巡り、何かを始めるモチベーションが高まります。
「やる気スイッチ」を入れるために、何か作業を始める前に軽い運動をすると、集中力の維持ややる気を引き出すきっかけになります。
仕事や勉強を始める前に、軽い運動を取り入れてみましょう。
運動はじわじわと効果が現れる
軽い運動でも、毎日続けることでぐっすり眠るのに役立ちます。
寝る前に軽い運動やストレッチをすることで、適度な疲労が体に残り、寝つきがよくなります。
また、運動で一時的に体温が上がり、その後自然に下がることで眠気が訪れやすくなります。
寒い冬の夜でも、気持ちよく眠れるようになります。
「すぐに効果が出ない」と諦めてしまう人もいますが、運動はスルメを噛んでいるときのようにじわじわと効いてきます。
そう考えると、続けるきっかけになるかもしれません。
さらに、運動は日常に新しい刺激をもたらすチャンスでもあります。
寒いと家にこもりがちですが、近所を散歩したり、少し離れた場所までウォーキングするだけで、新しい人との出会いや初めてのお店、自然とのふれあいなど、家の中では味わえない時間を楽しめます。
日常の刺激がマンネリ化していると感じる人こそ、少し外に出てみてはいかがでしょうか。
運動には、体を強くするだけでなく、心を元気にする多くの効果があります。
忙しい毎日でも、少しの時間を使って散歩や軽いストレッチをするだけで、心も体も大きく変わるかもしれません。
この冬、ちょっとした一歩を踏み出して、心に広がる温かさをぜひ感じてみてください。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。