稼ぎを試算すると…
年収は約180万円
準社員のキャストは「M」「A」「G」「I」「C」という5つのグレードに分かれている。これは「マジック(魔法)」のスペルから来ており、Cが最上位で、I、G、A……の順となる。
グレードによって時給が違う。基本時給は最上位のCが最高で1350円、最下位のMは960円である。
キャストの半数以上はGキャストであり、私もそうだった。なお、私の基本時給は1070円(退職時)だった。
ある日、ストレージにいるとき、SVに話があるから隣のオフィスに来るように言われた。オフィスに行くと、SVは真剣な顔つきでこう告げた。「今度、時給が10円上がります。このことは決してほかのキャストに口外しないでください」
思わず「10円ですか?」と口に出しそうになった。そして、その程度の値上げすら口外をするなと言う。
時給の話など同僚のあいだでもしたことはなかったが、SVとしてはキャスト間で時給が話題になることを避けたかったのだろう。それにしても、たった10円では、1日7時間勤務したとしてもジュース1本分にもならない。
それでは、もっとも人数の多い「Gキャスト」で稼ぎがどれくらいになるのか、 おおまかに試算してみよう。時給1070円として1日7時間、月20日勤務した場合で、約15万円である(便宜的に交通費や職種別調整給などのプラス部分と社会保険料などのマイナス部分は相殺して考える)。これだと年収は約180万円となる。
自宅から通える人はともかく、浦安市内に賃貸で住んだ場合、一般的な1Kタイプの部屋でも家賃6~7万円はかかるので、使えるお金は月10万円以下となる。私のようなリタイア組は別として、この仕事で生計を立てようとすれば、余裕ある生活は難しい。
キャストの時給はいわゆる最低賃金は上回っているものの、冬場の閑散期には勤務時間数が極端に減り、また来園者数が見込みを下回ったときの「解消」(勤務中止)などを考えるとお金を稼ごうとする人にはまったく向かないアルバイトといえる。