たしかに同じ年の友人が先に出世したら、焦ったり、妬んだり、自分を情けなく感じることもあるでしょう。

 出世だけでなく「自分で会社を立ち上げた」「大金を稼いでいる」「独立して自由な立場で活躍している」「やりたいことをやって楽しそうだ」なんて話を聞いて、妬ましく感じる場面はいくらでもあります。

 近年はSNSの世界でも「あの人はフォロワーが1万人いる」「いつも『いいね』をたくさんもらっている」など妬ましく思うことはたくさんあります。

 SNSには「自分はこんなにすごいんだぞ!」とアピールする人がいっぱいいるので、以前より何倍も、何十倍もの人が嫉妬心を抱いて、モヤモヤしているのではないでしょうか。

 そんなときは「足湯」のことを考えてみてください。

<足湯の思考>
せいぜい気持ちよくなっていればいいさ。
どうせ僕のところに人は集まってくるんだから。
<老子の言葉>
江海(こうかい)の能(よ)く
百谷(ひゃっこく)の王と為(な)る
所以(ゆえん)の者は、
その善(よ)く
これに下(くだ)るを
以(もっ)てなり。
故(ゆえ)に能く
百谷の王と為る。

<医訳>
大海がいくつもの川や谷の水を集めて、その王となっていられるのはいちばん低いところにあるからだ。高いところにいると人を安心させず、人々は重さを感じる。低いところにいるからこそ、人は邪魔だと思わず、安らいでくれる。

 人間ですから、誰だって自分の優秀さを発揮し、人より高い地位に立ったり、高い評価を得たいと思うもの。

 しかし、本当に「上にいる人はすごい。下の人はダメ」なのでしょうか。

 私はそうではないと思っています。

結局は「すごい人」よりも
「気楽な人」が愛される

 実際、かなり多くの人が「立派な人」「すごい人」より「気楽で、安らげる人」に魅力を感じているものです。

 立派な人が相手だと、その人を見上げて「立派ですね」「すごいですね」とずっと言わなければなりません。そんなふうに顔を上に向けていたら、首は痛いし、肩もこる。気を遣って、ほとほと疲れてしまいます。