森:「日本企業でよくやる手、ですか?何でしょう…。もしかしたら、ネマワシ、ですかね?」

セリーナ:「Yes! NE-MA-WA-SHI! それそれ、それです」

スティーブ:「ネマワシ、って何ですか?」

セリーナ:「もともとは、地面で育ててる樹木を移植する時に広大な範囲に広がった根っこを掘り返す作業を軽減するために、あらかじめ太い根っこを定期的に切っておくこと、だったみたい。切られた根っこからは細い根が生えて、根の範囲が狭くなって、樹木を販売したりして移植する時に掘り返す作業が楽にスムーズになる、ってこと」

 セリーナは日本通です。ネマワシの語源は私も知りませんでした。

 樹木の根っこを事前に管理して、トラブルやリスクを最小化することがビジネスでも重要で、ネマワシと呼ばれるようになったそうです。英語だと、behind-the-scenegroundwork、とも言われます。

ネマワシで複雑なグローバルプロジェクトを成功させよう!

セリーナ:「ネマワシをして、プロジェクトの成功確率を上げるべきだと思うの」

スティーブ:「どうしてそんなまどろっこしいことが必要なんですか?マネージメント会議で上申して、議論して、必要だったらその場で修正して承認すれば、数時間で決まるじゃないですか。ネマワシしてたら、チームの時間が足りません」

 スティーブが言うことも理解できます。キーパーソンが北米、日本、欧州で3人ずついるとして合計9人。その人たちに情報共有して、さらに改革案の議論に参加してもらって、反対意見が出たら案を修正して、なんてやっていたら、時間もかかりますし、まとめるのも大変です。

セリーナ:「だから私の提案は、ネマワシに必要な時間とチームリソースをスケジュールに入れておく、たとえ情報収集・分析・改革案設計の時間を減らしても、というものです」

 セリーナは私とスティーブに対し、ネマワシが組織変革を成功させるうえでいかに重要か、丁寧に説明してくれました。

スティーブ:「ネマワシの効果はわかりました。ではどうして、ネマワシしたほうがうまくいくのでしょうか?」