(3)自分の評価が下がるかもしれない、という恐怖心をコントロールする

・どんなに「世の中を良くするために仕事をしている」「お客様に貢献するために仕事をしている」と言っても、組織で仕事をする以上、その組織内での自分の評価には誰でも敏感になる。たとえ組織の長であっても。そのため、組織内での自分の評価が下がる可能性があることが不愉快、ムカつく、怖い。

・この場合の「評価」は、オフィシャルな人事評価だけでなく、組織内での評判、特定の権力者や過去のリーダーから好かれているか・覚えめでたいか、なども含む。

・組織内で評価が下がる恐怖をコントロールするメカニズムを活用した活動を、組織内のサブグループ(派閥)への働きかけや多数派工作まで発展させた高度なネマワシを「社内政治」と呼ぶこともある(社内政治を不要なもの、やるべきでないもの、と捉える人もいるが、大人数の組織を動かして仕事のインパクトを出すには、政治が必要になる時もある)。

ネマワシ効果を数式化して、いつでも使えるようにしよう!

 私はひと通り説明を聞いた後で、質問しました。

森:「恐怖心をコントロールするのに効果的な順番はありますか?」

 セリーナによると、上記に挙げた順番でコントロールするのがよいそうです。

「そんなこと聞いてないぞ!」の恐怖心は、事前に情報共有することで比較的簡単にコントロールできます。一方で、こじらせるとずっとついてまわります。

 たとえば、社内政治を駆使して改革案の承認を勝ち取ったとしても、重要メンバーが「聞いてないぞ!」状態だった場合、改革実行の際に足をひっぱられたり、他のプロジェクトで障害になったりする可能性があります。

セリーナ:「マネージメントのトップとだけ合意してどんどん進める、というのはスピーディで良い面もあるわよ。でもやりすぎると、副作用、『聞いてないぞ!』連合の反撃が来てしまうの。私もそれで、何回も痛い目を見たのよ」

 どうやら、3つの恐怖心をコントロールする重要性に順番があるようです。数式にすると、こんな感じでしょうか。