「いいところなんか1つもない」と感じる相手の場合、どうすればいいのか?

 無理に人数を増やす必要はありませんので、パッと思いつく人が尽きたらそこで打ち止めにします。

 中には「いいところなんか1つもない」と感じる相手もいるかもしれません。でもよーく思い出せば1つや2つは見つかるもの。そして、もし1つも見つからなかったとしても大丈夫。こんなときに有効なのが、「リフレーミング」という心理学の手法です。

 リフレーミングとは、ごく簡単に言ってしまえば、短所を長所として捉え直すこと。たとえばこんな感じです。

〈リフレーミングの例〉
・神経質→細部まで目が行き届くしっかり者
・適当→細かなことを気にしないおおらかな人
・空気が読めない→周囲に振り回されない
・おせっかい→相手のことを思って行動できる
・気まぐれ→自分の気持ちに正直
・頑固、わからずや→信念と一貫性がある
・言葉がきつい→率直で人の目を気にしない
・気が短い→情熱的で判断が速く、行動力がある
・偉そう→堂々としている

 この技を使えば、相手にイヤな部分が多いほど、たくさんのいいところを書き出すことができます。もちろん、特にイヤじゃない特徴もポジティブに表現していきます。イヤなところも普通のところも全部「いいところ」に変えていけるのですから、10個は書けるはずです。

「苦手な人」の笑顔を思い浮かべながら、苦手な人のいい点を書く

 ここで大切なのは、その人の笑顔を思い浮かべながら書くこと。もちろん意地悪な冷笑やニヤニヤ笑いではなく、心からの笑顔を想像します。苦手な相手の笑顔を思い浮かべること自体がかなり難しいかもしれませんが、この壁を乗り越えることで、効果が何倍にも高まります。

 その効果とは、あなた自身の相手への感情が変わることによる効果です。リフレーミングによって、イヤなところばかりだと思っていた人から、10個もいいところがある人へ変わります。相手の存在が、これまでとは違うものとして感じられるはずです。

 実は、「相手が自分にいい感情を持っていない」と感じる大きな理由は、「自分が相手にいい感情を持っていないこと」です。これは心理学で「投影」と呼ばれる現象で、相手の中に見えるネガティブな感情は、実はあなた自身の中にあるネガティブを鏡のように映している、というケースが多いことがわかっています。

 裏を返せば、相手へのネガティブな感情を薄めたり、ポジティブに変えたりすることができれば、相手があなたに対して持っている(とあなたが感じていた)ネガティブな感情も薄らいだり、ポジティブに変わったりするわけです。

 ぜひ実践してみてください。