「情報格差」が大きすぎる

滝乃:正直、女に生まれたことにムカついたことがない女性はいないと思うんですよ。性被害やルッキズムはもちろんですが、わたしは生理があることについてもすごいムカついています。

犬山:生理の痛みを我慢し続けなければいいけないことに、ムカつき通しています! わたしはミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム。子宮内に装着して使用する)を入れて、ようやく生理の煩わしさから解放されました。

滝乃:わたしも子宮腺筋症の治療でディナゲスト錠を内服してから世界が変わりました。「生理がない世界って天国じゃん!10歳のころに戻った!」って。でも、生理の負担を楽にするための情報って、あまり知られていないですよね。

犬山:情報格差がありますよね。女性の体を楽にする方法ってまだまだ認知度が低い……というか、ないがしろにされていますよね。社会の意思決定機関にもっと女性がいたら、絶対にもっと知見が広まっていると思うんです。

滝乃:そうなんですよね。生理への対処法って、ナプキンかタンポンの二択になりがちです。もちろんこれらは最初の選択肢として正しいんですけど、それ以外のたくさんの方法につながっていかない。最近ようやく「低容量ピル」の認知が広がってきたくらいです。

産婦人科へ行く壁が高すぎる

犬山:そもそも、産婦人科に行くハードルもすごく高いですよね。

滝乃:産婦人科の内診が得意な方はいませんよね。足をカパッと開いてお医者さんに下半身を見せている最中「なんでこんな目にあわなきゃいけないんだ」っていう行き場のない辛さにさいなまれます……。お医者さんはもちろん悪くないんですけど。

犬山:そうなんです。苦手意識がどうしてもあるわけで、だからこそ、先生が説教してきたり、軽んじるような発言をされると余計に辛い。逆に信頼できる先生だと苦手意識も薄くなる。まず、親自身に行きつけの産婦人科がないんですよ。

滝乃:ああ……!たしかにそうですね。

犬山:もちろん何も不調がなければ行く必要がないんですけど。でも、やっぱりまずは親自身生理の不調があるのであれば、自分の生理のケアっていうのをしないと、急に子どものケアをするのも難しい。なので、子どもがもし「生理が痛い!」ってなったときにどの病院へ連れて行こうか? を悩んでしまう。

滝乃:産婦人科にはじめて行って、そこで痛いことされたりとか、何かきついこと言われたらもう2度と行くもんかってなると思うんですよ。だから『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』の中で産婦人科の探し方について触れてくれていたのは、すごくよかったです。

犬山:産婦人科医の稲葉加奈子先生に選び方をうかがって書きました。馬鹿にした目線で話さないとか、そういう当たり前のことをちょっとやってほしいだけなんですけどね……。

滝乃:「痛い!」って言ったとき「みんなやってるよ、痛くないよ」とぶっきらぼうに言われると絶望します。痛いのに……。

犬山:腕の良し悪しとコミュ力は関係ないですけど、それで医療不信になったら元も子もないです。