2024年1月1日に発生した能登半島地震から1年が経つ。南海トラフ地震や首都直下地震など巨大地震の脅威も去らぬ中、断片的な防災知識ではなく最先端の科学技術や専門家の知見に基づいた正しい防災知識を身につけたいと考える人も多いのではないだろうか。
本記事では、池上彰総監修『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)で第2章「自然・災害からいのちを守る」の監修を務めた危機管理の専門家・国崎信江氏に「アップデートすべき防災知識」を聞いた。
家で過ごす時間が増える年始、防災対策を見直してみては?(取材・構成/杉本透子)
「モバイルバッテリー」より断然役立つものとは
――防災グッズを用意しようと思っても、なかなか一気には買えないという方も多いと思います。『いのちをまもる図鑑』には、用意しておくべき防災グッズのリストが掲載されていますが、「まずは『これ』」という重要度の高いモノはなんでしょうか?
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国崎信江氏(以下、国崎):ポータブル電源はマストですね。ポータブル電源があれば携帯電話の充電ができますし、照明をつけることもできます。エアコンや大型の冷蔵庫は難しいですが、小さめの扇風機なら暑いときに使えて熱中症対策にもなります。いわゆるコンセントがあって使える状態にできるのです。もちろん容量にもよりますが。
スマートフォンを充電するようなモバイルバッテリーがあれば安心だと思われている方も多いのですが、大規模な災害だと停電期間も長くなるためそれだけでは不安です。
「ポータブル電源」の選び方
――どのくらい容量のポータブル電源を買うかも大事ですね。結構サイズが大きいものが多いイメージですが…。
国崎:いえいえ、大きな発電機をイメージされる方もいらっしゃると思いますが「ポータブル」電源といってCDプレイヤーくらいの大きさで、アウトドアにも持っていけるようなサイズもあります。
――ポータブル電源を選ぶときのポイントはありますか?
国崎:Anker(アンカー)、Jackery(ジャクリ)、Victor(ビクター)などお勧めのポータブル電源はありますがご自身で性能や大きさなど気に入ったものを選ばれるとよいと思います。ただ、選択肢に入れていただきたい視点が、処分するときに引き取ってくれるサービスのある業者であるかという点です。
自治体では引き取ってくれない場合もあり、リチウムイオン電池内蔵製品は処分するときに本当に困ることになります。
――捨てる視点はありませんでした!
国崎:私はAnkerの「Anker 522 Portable Power Station」を能登半島などさまざまな被災地に持って行っていますが、安心して使える容量があります。また、ほとんど放電をしないので一度充電すれば、そのまま長く置いておけます。Ankerさんはリチウムイオン電池の性能がよくて発火しにくいのも特徴です。まったく回し者ではないのですが、ライトもついていて4万円程度でこのスペックはすごいと思います。
あとはソーラーパネルも一緒に備えていれば、被災生活が長くなっても充電し続けることができるのでより安心です。
――ポータブル電源は意外とみんな持ってないけれど重要度が高いものの筆頭なんですね。自分もこれを機に購入しようと思いました。
国崎:そうですね。モバイルバッテリーも複数台買ったりして、なんだかんだ2万円近くしたりするじゃないですか。であれば、ポータブル電源を1台買って充電しておいたほうがほかの電気製品も充電できるのでいざというとき頼りになると思います。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』についての書き下ろしインタビュー記事です。
国崎信江(くにざき・のぶえ)
危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。国や自治体の防災関連の委員を歴任。『10才からの防犯・防災』(永岡書店)や『おまもりえほん』(日本図書センター)などの監修もつとめる。