専門領域では、マンチェスター大学生物科学部と交換制度があるが、将来の天皇としては、天皇陛下や秋篠宮殿下の時代より一歩進んだかたちで、よりうちとけて海外の王侯と交流できるようになるべきだ。

 日本では華族社会とブルジョア社会が渾然一体となっているが、ヨーロッパでは異質なものだ。やはり彼の地の貴族的なスタイルを早く会得されるといいと思う。

 こうした課題を解決していくためには、相当、思い切った特別配慮も必要になってくると思う。大学にしても、秋篠宮皇嗣家にしても、あまり「特別扱いしない」などと言い過ぎないほうがいいと思う。

悠仁さまへの誹謗中傷が
続くのは政府にも責任

 悠仁さまの進学について、さまざまな誹謗中傷がされたり、根拠のない風評で将来の天皇としてふさわしくないなどと言われたりするのは、宮内庁はもちろんだが、政府の失敗でもあると思う。

 悠仁さまは成績が悪くてひ弱などという情報を信じて、「将来の天皇にふさわしくない」という人もいる。しかし、お茶の水女子大学附属中学校が悠仁さまの卒業式の日に行った記者会見では、優秀な成績で友人関係も順調だったと説明している。

 帝王教育も、幼少時からご両親や上皇ご夫妻が行き届いた配慮でなされてきたので、悠仁さまが国民の前に出る機会が増えれば雑音は消えていくと思う。

 世界中、どこの君主国でもご一家を政府がしっかり守っている。それは内閣の最重要な仕事のひとつだ。かつて英国のジョンソン元首相に「どのくらい天皇陛下に会うのか」と聞かれた安倍晋三元首相が「数回だ」と答えたところ、ジョンソン元首相は「それは素晴らしい。俺は毎週会わなくてはならない」と言ったという。

 戦前の首相は、頻繁に天皇陛下に会っていた。しかも、昔は内大臣という閣僚級の側近も天皇の側にいた。また、エリザベス女王を君主として厳しく育てたのが、ウィンストン・チャーチル首相だったことはよく知られている。石破茂首相も常に皇室に目配りして、陛下や皇族をしっかりとお守りすべきだと思う。

(評論家 八幡和郎)