芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。
脳がオフにできない状態が続くと…
脳をオフにできず、常に70~80%のエネルギーが消費されていると、いわゆる「煮詰まった」状態になります。
・明日のプレゼンの資料を準備するために、ずっとパソコンと向き合っているけれど、いい切り口が浮かばない
・クライアントに提案するイベントの目玉企画が思いつかない
・新商品のアイディアをいくつ考えても、ありきたりのものしか浮かばない
このように、一度煮詰まってしまうと、考えれば考えるほど頭の中がぐしゃぐしゃになり、時間だけが過ぎていくということになりかねません。こういう時こそ、サウナの出番です。なぜなら、サウナにはアイディアをひらめきやすくする効果もあるからです。
入浴とは異なる、サウナならではの脳波が現れる
先ほどのMEGを用いた研究によると、サウナに入った後は、右側頭頂葉の一部にβ波が増加することがわかりました。
頭頂葉というのは、一般的に感覚や認識、情報の分析を司る領域で、右側は、音楽や空間把握、発想などを主な役割としています。対して左側は、論理的な思考や計算、言語的なものなどを司っています。なお、今回の実験では右利きの人しかいなかったため、右利きの人を前提に話します。左利きの人の場合は左右が反対になります。
β波というのは、14~30Hzの脳波のことを言います。α波が穏やかな波だとすると、β波はもう少し荒い波のイメージです。つまり、β波が増加するということは、その部分が少し波立っているということ。ちょっとした緊張状態にあり、活動していることを表します。
そのため、何もしていない、すなわちリラックスしている時というのは、本来、α波が増えβ波は減ります。たとえば、入浴後はリラックス状態にあるため、β波は下がります。
ところが、今回の研究では右側頭頂葉の一部の領域でβ波が増加していました。測定を行ったのは、サウナから出て安静にしていた時なので、β波は減少していてもよさそうなのに、実際は増えていました。これは、入浴とサウナでは、脳が受ける影響は異なるという証でもあります。
さらに、β波が右側の頭頂葉に増加したということは、感覚を司る領域が活動しているということ。つまり、サウナに入ると、アイディアが浮かびやすい状態になると言えるのです。
*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。