54歳おひとりさま、築50年の団地で「月12万円生活」の豊かすぎる生き方とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

80代の母の介護をきっかけに、49歳で都内の新築マンションから築50年越えの団地に引っ越した筆者。母の介護をしながら自身も少し早めの老い支度を始めている彼女が、小さな暮らしを豊かにする日々のアイディアを解説する。本稿は、きんの『54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

住居費は月2万円以下
マンションより月6万以上ダウン

 団地暮らしの一番のメリットは、住居費の大幅ダウン。現在の住居費は修繕積立金、管理費、固定資産税を合わせても2万円以下です。マンション暮らしだったころに比べて、月6万2000円も下がりました。快適だったマンション生活ですが、思えば毎月のローンが重く肩にのしかかっていました。

 会社で中堅どころとなり、残業も責任も増える一方。キツイけど、ローンがあるからこの先も定年までこの会社で働くしかないと思い詰めていました。それが、団地に引っ越すことでローン返済がなくなり、ストレスから解放されたのです。

 ところで、団地生活の一番のデメリットは通勤時間で、往復3時間かかる日もありました。安定して多くの収入を得るためには会社員がベストですが、住居費が減った分、収入の少ない仕事でも生活は可能なのでは?そして、1日3時間を有効に使える方が人生が豊かになるのでは……と考えました。

 決断したら即行動です。ハローワークでまずは職業訓練を受ける方法もあると聞き、応募。今まで人に助けられることばかりだったので、人生後半は少しでも恩返ししたいと思い、介護職を選びました。会社を辞め、49歳で専門学校に入学。

 10代の子たちと一緒に2年間勉強しました。運よく資格を取得し、51歳で介護職の正社員に。今は自転車通勤できる距離の職場で働いています。

 アラフィフで住まいも職場もガラリと変わる、こんなこと普通なら選択できません。おひとりさま、6万2000円分の心の余裕……さまざまなことが重なったおかげです。もしマンションにあのまま暮らしていたら、快適さと引き換えにリストラや働けなくなったときのことを心配しながら、母のことを気に病んで暮らしていたかもしれません。

 ピンチはチャンスと捉え、変化を恐れず、その時々に合わせて暮らしていくことで、生きるのがラクになりました。

月12万円生活でおうちごはんを
ラクに美味しく楽しむ3つの工夫

 食べることは生きる楽しみのひとつ。日々の食事や晩酌は人生を彩る大切なものです。月12万円生活では外食費にあまりお金はかけられないから、おうちごはんをラクに美味しく楽しむための方法を考えました。