やるべきことがあるのに、結局何もできずに1日が終わってしまった。誰にとっても身に覚えがあることだろう。話題作『Master of Change 変わりつづける人』は、最新ウェルビーイング研究をひも解きながら、人生の転機で新たな一歩を踏み出し、未来を切り開いた人々を描く刺激的な1冊だ。アメリカで大きな反響を呼び、多くの人の心を動かしたこの本がついに日本に上陸した。ここでは本書から一部を抜粋し、「すぐ行動する人」になるための考え方を紹介する。

「すぐやる人」と「先延ばしにする人」日常習慣に1つの決定的な差Photo: Adobe Stock

生産的に行動すると、もっと生産的な行動をしたくなる

 認知療法では思考によって心の状態を変えるが、行動療法では行動によって心の状態を変える。たとえ自分に無理強いしていると感じようとも行動するのだ。

 今日意志を貫いてわずかでも生産的な行動を取れれば、ワクワク回路が有効になり、明日も同じような生産的な行動を取りやすくなる。

 ドーパミンが放出されてワクワク回路が優勢になり、ワクワクを求めて生産的な行動が積み重なっていく

※ワクワク回路(the SEEKING pathway):神経科学者のヤーク・パンクセップが名づけた神経回路。計画を立てたり問題を解決したりするのを促す働きがある。

 きわめて楽観的なことや戦略的なことを考える時にもドーパミンは分泌されるが、行動する時のドーパミン分泌量は比べものにならない。

 落ち込んでいる時、意欲が湧かない時、やる気が起きない時、生産的な行動を取ると元気になるのはそのためだ。

 ネガティブな感情を抱いても構わないが、くよくよと考えたり、それが運命だと思い込むのはやめよう。

 視点を変えて、どんな感情であれ、それを抱えたまま何らかの行動を取ろう。するとほぼ間違いなく、気分が良くなるだろう。

 臨床心理士はこれを「行動活性化」呼ぶ。

 行動活性化の根底にあるのは、行動はモチベーションとポジティブな効果を生み出すことができるという理論だ。

マンネリを感じている時に効果的な方法

 行動活性化は、特にマンネリ化している時に効くと言われている。

 わかりやすく言うと、何かを始めるために気分を上げる必要はない。何かを始めれば自然と気分も上がるということだ。

 生産的な行動は自分で強化できる。今日何かを始めようと自らの背中を押せば、明日はもっと簡単にできるようになるだろう。

 もちろん、うつ病や絶望感などメンタルヘルスの問題を抱える人々にとっては、行動活性化は一番効果的な手段とは限らない。

 だが臨床研究によると、行動活性化は非常に効果の高い手段であり、特に過渡期や混乱期のただ中で、気分が落ち込んでやる気が起きない時に有効だという。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。