こんなことでは、フジテレビはもちろんのこと、オールドメディア自体の信用が地に落ちて、もはやなんの説得力もない。場合によっては、放送事業者として「優遇」するのをやめるべきという議論にも発展するかもしれない。

 こういう最悪のシナリオを避けるには、個人的には弁護士だけではなく、外部のジャーナリストを代表にした調査をもうひとつ立ち上げるべきではないかと思う。

 英・BBCでは人気司会者ジミー・サビルが長年、未成年者相手に性加害を繰り返していたという不祥事があった。BBC内部でも取材が行われたものの、編成局責任者の判断で放映できなかった。その際に、24時間ニュースチャンネル「スカイニュース」のトップだったニック・ポラード氏が率いた独立調査がなされたのだ。

 日本でも、テレビ局を辞めて活動をするジャーナリストはいる。そういう人の中で特に取材力に定評のある人物に依頼して、フジは取材に全面協力する。その結果を報告書として公表してもらうだけではなく、検証番組を制作してもらったほうがいい。

 これくらい思い切った調査をしないと、国民の信頼を取り戻すことはできないだろう。

 いずれにせよ、フジテレビへの厳しい風当たりはこれからが本番だ。悪いことは言わない。本稿で指摘した「矛盾」は早めに解消しておくべきだ。「無理のある説明」というのは時間がたてばたつほど、社会の不信感を募らせていく。会見を乗り切るための軽い言い逃れのつもりが、いつの間にか「虚偽の説明」となって、自滅した企業をたくさん見てきた。

 米ファンドも記者会見をやり直せと言っていることだし、港社長はぜひ次の記者会見で記者クラブだけではなく全メディアの記者の前で、こんな謝罪をしてはいかがだろうか。

「事態の深刻さを私が理解しておらず、会社として女性へのケアが足りていなかった。中居さんの番組継続に関しては放送局としての利益を優先するという私の判断ミスで言い訳のしようがない。関係各位の皆様には心からお詫びをしたい」

 もちろん、ボロカスに叩かれる。株価も下がる。引責辞任も余儀なくされるだろう。しかし、世間的には女性の主張に沿う形の話なので納得感はある。フジテレビとしても「非を認める」となれば、再発防止策など次のステップに進める。